対人恐怖症


(症状のチェック、原因、克服方法の解説)

1.概要説明

対人恐怖症とは、社会不安障害や対人恐怖、社交不安症とも言われますが、人前で緊張し思うように話が出来なくなってしまうとか、顔が赤くなってしまう、人の視線が気になってしまう、といった症状で現れてくる、強迫神経症の中でも特に日本人に多く見られる心の悩みです。

日本のような集団行動を重視する社会においては、アメリカなどの個人主義の国に比べ、人間関係(対人関係)が崩れることは、社会的な死を意味するほどであり、この「社会的な死の恐怖」から対人恐怖症の症状が起こりやすくなっているのではないかと思います。

なお、対人恐怖症は、あがり症や、対人恐怖、社会恐怖、社会不安障害、社交不安症と呼ばれている症状と実質的には同じことになりますが、このサイトでは分けて説明させて頂いております。
(キーワードで検索される方のために、あえて分けさせて頂きました。このため内容が重複している部分もあると思いますが、この点は御了承頂ければと思っております。)

対人恐怖症には色々な症状がありますが、いずれの症状も、人から変に思われるのではないかとか、嫌われたらどうしようといった人間関係(対人関係)の不安が根底にあると言えます。

人見知りをするとか、人に気を使うということは、誰にでも多かれ少なかれあるものですが、これが過度に強くなり、「とらわれ」が出来、心の悩みになっているのが対人恐怖症に悩んでいる状態だと言っても良いのではないかと思います。

また、対人恐怖症の症状に悩んでいる人は、かつての私もそうでしたが、悩みを治すために、性格の治し方や心理学関係の本を読んだりするものです。

また、催眠や自己暗示といった民間療法で治すことを試みたり、宗教的な修行に救いを求めたりすることも多いように思います。

しかし、このような対人恐怖症の症状だけに目を向け、これを治そうとする方向の行動は森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動になりますから、取れば取るほど、逆に、かえって症状を強くしてしまうものなのです。

なお、最近は対人恐怖症の場合でも精神科や神経科、心療内科などの病院で診てもらうと、社会不安障害や社交不安症、中にはうつ病などと診断され、抗うつ薬や抗不安薬、精神安定剤などの薬物療法で治療されることが多くなってきたように感じます。

そして、このために、抗うつ薬や抗不安薬、精神安定剤などの薬物依存の問題も起こりやすくなっているのではないかと思います。

また、最近、テレビや新聞などのマスコミで目にすることの多くなった発達障害とかコミュニケーション障害、アスペルガー症候群と言われている症状の中には対人恐怖症の場合が、かなり含まれているように思います。

しかし、対人恐怖症は障害とか病気とは全く異なりますので、誤解しないようにしていった方が良いと思います。


2.症状のチェック(診断)

対人恐怖症の主な症状をまとめると下記のようになります。

このため、ご自分の悩みが当てはまるかどうかをチェックし、診断してみるのも良いと思います。



(対人恐怖症の具体的な症状)

1.赤面症(赤面恐怖)
会社の上司や同年代の異性など、苦手な相手と仕事などで接する時に顔が赤くなってしまう。

2.視線恐怖
バイト先などで周りの人の視線が気になり、ぎこちなくなったり、仕事に集中出来なくなる。

3.劣等感
仕事や勉強自体は自信があるが、内向的な性格のことや人付き合いが苦手なことで劣等感を感じる。

4.予期恐怖
会議や朝礼などで発表しなければならない時に、また緊張してしまったらどうしようと不安や恐怖を感じ憂鬱になってしまう。

5.対人不安
会社の上司や異性の同僚と接する時に変に思われるのではと不安になってしまう。

6.対人緊張
自信家タイプの苦手な同僚と仕事をする時などに緊張し疲れてしまう。

7.書痙
仕事で重要な書類を書く時や、結婚式や葬式などの記帳の時に手が震えてしまう。

8.震え恐怖
朝礼の司会や発表会の当事者になった時などに足や手が震えてしまう。

9.笑顔恐怖症
人前で笑う時に顔が引きつったり、ゆがんでしまうために変に思われるように感じる。

10.表情恐怖
自分の表情が不自然で暗く周りの人から嫌われているように感じる。

11.醜形恐怖症
自分の容姿が醜く他人からブスとか可愛くないと思われているように感じ辛い。

12.多汗症(発汗恐怖)
仕事でお客様と話す時などに汗が異常に出てしまうために変に思われるように感じる。

13.正視恐怖症
学校の先生や仕事の上司、異性の同僚などと面と向かって話す時に目のやり場に困ってしまう。

14.吃音恐怖
仕事やプライベートの電話で話す時などに最初の言葉が出ず、言葉が詰まってしまう。

15.雑談恐怖症
バイト先や学校の休憩時間などで、みんなが話している時に話の輪に入れない。

16.おなら恐怖
職場や教室、乗り物に乗っている時などに、おならが漏れてしまい、周りの人から嫌がられているように感じる。

17.唾液恐怖症
仕事中や授業中など周りが静かな時に唾を飲み込む音が他の人に聞こえ嫌がられてしまう。



3.症状の原因

対人恐怖症にどうしてなるかということですが、森田療法では2つの要因があると言っています。

1つは「外的要因」と言われているものであり、学校の授業中に突然指名され発表する時に声が震えてしまったというような恥ずかしくショックな出来事が「キッカケ」になることが多いものなのです。

そして、もう1つは「内的要因」と言われているものですが、不安や緊張などの感情や、赤面や震えなどの症状に対する「誤った考え方」というものが挙げられます。

つまり、人前で緊張したり声が震えてしまうことを、人から変に思われる恥ずかしいことであり、絶対にあってはならないことだという「誤った考え方」があると、かえって緊張や声の震えの症状の方に注意が向いてしまうことになるのです。

そして、この結果、注意と症状の悪循環が起こり、対人恐怖症の症状を、ますます強くしてしまうものなのです。

そして、こういう「誤った考え方」や認識は神経質性格の特徴を持っている人に起こりやすいものなのです。

ですから、対人恐怖症の症状は「外的要因」が「キッカケ」になり、神経質性格や感情や症状に対する「誤った考え方」などの「内的要因」によって、ますます強くしてしまうと考えて良いと思います。

このため、この2つが対人恐怖症の原因だと言って良いと思います。

つまり、脳とか神経の異常が原因ではありませんので、安心して下さい。


4.治療と克服のための方法

先ほども概要説明のところでも書きましたが、今は精神科や心療内科の病院などに行くと、対人恐怖症の場合でも社会不安障害や社交不安症と診断され、薬による治療をされるのが一般的になっていると思います。

しかし、症状の原因のところでも書きましたが、対人恐怖症は注意と症状の悪循環によって「とらわれ」が出来、この結果として症状が強くなるものなのです。

ですから、いくら抗うつ薬や抗不安薬、精神安定剤などの薬を飲んで強制的に不安や緊張を感じにくくしても、こういう治し方では根本的な治療にはならないのだと思います。

先ほども書きましたが、対人恐怖症の症状に悩んでいる時は、緊張や不安、症状を感じて当然の時でも、これを異常なものとか、恥ずかしいことと考え、排除しようとしていることが多いものです。

そして、このために、ますます緊張や不安、症状を強くしてしまうという「悪循環」に陥っているものなのです。

ですから、まず、今は、対人恐怖症に悩んでいる最中だから緊張や不安、症状を感じて当然なんだと受け止めるようにしていくのが第一歩になると思います。

そして、この上で、目の前の「なすべきこと」を1つ1つ、きちんとこなすようにしていくと良いのだと思います。

つまり、これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになるのです。

そして、このように目的本位に行動していくことで、その時の緊張や不安、症状を「あるがまま」に受け止めることが出来るものなのです。

そして、この積み重ねの中で少しずつ症状が改善してくるものなのです。

つまり、目的本位や「あるがまま」など、森田療法の考えを意識しながら行動していく中で、緊張や不安、症状が少しずつ小さくなり、この積み重ねの結果として、対人恐怖症の症状を克服していくことが出来ると言って良いと思います。




対人恐怖症に関連する主な症状
赤面症 視線恐怖 書痙 笑顔恐怖症 多汗症
正視恐怖症 吃音恐怖 雑談恐怖症 おなら恐怖 唾液恐怖症
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