(原因と克服方法の解説)

  • 更新日 2021.05.19
  • 1.はじめに

    このページでは、おなら恐怖症と言われている悩みについて書かせて頂きます。

    人前で、おならが出てしまい周りの人が嫌な顔をしていると感じるのが代表的な現れ方になります。

    年代的には若い人に多く、特に女性に多く見られる悩みになります。

    特に日本においては人前でおならをすることは非常に恥ずかしいことだという考え方がありますので、外国よりも悩んでいる人が多いのではないかと思います。

    いずれにしても、今、おならのことで悩んでいる人に、いくらかでも参考にして頂ければと思っております。

  • 2.おなら恐怖症とは

    おなら恐怖症はガス恐怖や放屁症とも呼ばれますが、人の中にいる時に自分が無意識のうちに、おならや屁をしてしまい、人に迷惑をかけているのではないかと不安や恐怖心を感じ悩んでしまう症状になります。

    家に一人でいる時には特に気にならないけれども、人中に出ると、お腹にガスが溜まってしまい、おならや屁をしたくなってしまうという状態になる人も多いものです。

    つまり、人中で無意識におならをしてしまい他人に嫌がられていると感じ悩む症状だと考えて良いと思います。

    また、おなら恐怖症の場合は、おならや屁の音というよりも臭いによって周りの人から迷惑がられると感じる場合が多いように思います。

    こういう意味で、おなら恐怖症は自己臭恐怖の要素も含んでいると考えて良いと思います。

    また、おなら恐怖症に近いものとして口臭恐怖と言われるものがあります。

    口臭恐怖の場合も、おなら恐怖症の場合と同じように自分の口の臭いが人に分かり嫌な思いをさせていると感じてしまうものです。

    また、ワキの臭いが人に迷惑をかけていると感じる「ワキガ」と言われる症状に悩む人も多いものです。

    これらに共通するのは、自分の出す臭い(おなら恐怖症の場合は音も入りますが)が、人から変に思われるのではないかと気になるという意味で、対人恐怖症に含まれる症状だと考えて良いと思います。

  • 3.おなら恐怖症かどうかのチェック

    具体的にはどういう形で起こるかということをまとめてみました。

    これらの中に、もし心当たりのあるものがあれば、あなたの悩みは、おなら恐怖症の可能性が高くなると思います。

    1)人前で屁をしたくなって困る。
    2)他人の前で無意識の内にガスやにおいが漏れ迷惑をかけてしまう。
    3)無意識のうちにおならが出て、その臭いのために周りの人が嫌がる。
    4)スーパーのレジで会計をしている時におならが出て困る。
    5)美容室で髪をカットしてもらっている時におならが出てしまう。
    6)レストランで食事中におならが出て他の人たちに嫌な思いをさせてしまう。
    7)胃薬を飲んでも、おならが無くならない。
    8)精神科の薬を飲んでも、おならが改善しない。
    9)仕事中に頻繁におならをしたくなりトイレに行く。
    10)おならを我慢しているとお腹が鳴り側にいる人に変に思われる。
    11)授業中に緊張すると、おならが出てしまう。
    12)無意識のうちにガスが出て臭うために周りの人から嫌な顔をされる。

  • 4.おなら恐怖症と共通する点の多い悩み

    おならの悩みに近い症状が他にもありますので紹介させて頂きます。

    1)ワキガ
    これは脇の臭いのために周りにいる人たちに嫌がられると感じる悩みになります。
    そして、この悩みは若い女性に多く見られる傾向があります。
    このため、女性週刊誌などにはワキガを治すための美容整形外科の病院の広告なども多く見られます。
    しかし、汗腺の異常などが原因の場合には手術や薬で治ることもあると思いますが神経症の「とらわれ」が原因の場合には治りませんので注意が必要だと思います。
    なお、ワキガの場合は脇汗も同時に悩んでいることが多いように思います。

    2)口臭恐怖
    これは自分の口から出る臭いのために側にいる人に嫌な思いをさせていると感じる悩みになります。
    にんにくなどを食べた後は誰でも口臭がきつくなりますが、こういった明らかな臭いではなく客観的に見れば問題のないレベルの臭いで悩んでいるというところに特徴があります。
    ですから、いくら歯を磨いたり臭いのきつい食事を避けたりしても悩みは改善しないものなのです。
    つまり、口臭に対する「とらわれ」が出来た状態だと言って良いと思います。

    3)自己臭恐怖
    これは自分の体から出る臭いのために周りにいる人に嫌がられていると感じる悩みになります。
    ですから、このページで取り上げている、おならや脇の臭い、口臭なども含まれるということになります。
    元々、体臭の強い人もいますが、こういう人の側にいったりすると、神経質性格の人は自分もこの人のように他人から体臭がすると思われているのではないかと感じ、自分の体の臭いに対する「とらわれ」が出来やすいものなのです。

  • 5.おなら恐怖症に影響すること

    おならのことで悩むようになるかどうかは、その人が元々神経質性格の特徴を持っているかどうかが大きく影響すると思います。

    ただ、神経質性格の特徴を持っているだけでは、おならに悩むようにはならないものなのです。

    ですから、性格だけではなく、その人の物の考え方や価値観も影響してくるということになります。

    つまり、人前でおならをすることは絶対にあってはならない恥ずかしいことであるといった考え方があると、たまたま、なにかのキッカケで、おならをしてしまった時に、これは大変なことをした、どうしようとパニックになってしまい、これがキッカケになり、おならにとらわれるようになるのです。

    ですから性格と価値観が影響すると考えて良いと思います。

  • 6.原因

    これはさきほども書かせて頂きましたが神経質性格を持っているかどうかが第一の原因になると思います。

    そして、その人の持っている物の見方や考え方、価値観と、これを刺激するような出来事があったかどうかが第二の原因になると思います。

    つまり、この2つの原因が重なることで、おならに対する「とらわれ」が出来るようになるのだと思います。

    ただ、この過程では、おならに対する不安や怖れに引きずられて行動してしまうといったことが影響してくると思います。

    これは森田療法では気分本位の行動と言っていますが、こういう行動の積み重ねの中で「とらわれ」が強くなるものなのです。

  • 7.克服方法

    「とらわれ」が原因になっている、おなら恐怖症の場合は、お腹にガスが溜まったり、おならや屁がしたくなって当然の時でも、これを異常なものとか恥ずかしいことと考え排除しようとしていることが多いものです。

    しかし、このために、ますます、お腹にガスが溜まっている感じや、おならや屁をしてしまったらどうしようという不安や恐怖心を強くし「悪循環」に陥っているものなのです。

    ですから、まず、お腹にガスが溜まったり、おならや屁がしたくなる時もあって当然なんだと受け止めるようにしていくのが第一歩になると思います。

    そして、この上で、目的本位や「あるがまま」など森田療法の考えに従って行動するようにしていくと、少しずつ不安や恐怖心が薄れ、おならに対する「とらわれ」が和らいでくるものなのです。

    そして、この結果として、薬に頼ることなく、おなら恐怖症を克服することが出来るものなのです。