(原因と対策のための説明)

  • 更新日 2021.09.12
  • 1.はじめに

    最近は不眠症外来という診療窓口のある病院も増えているようですが、今の時代は寝ようと思う時に思うように眠れないという、不眠に対する悩みを感じている人が増えているのではないかと思います。

    仕事や勉強、職場や学校、隣近所での人間関係に伴うストレスなどから、不眠症に悩むようになる人は昔からいたと思いますが、この中には神経症の「とらわれ」が原因になっている場合も多いと思います。

    このページでは、こういう神経症が原因の不眠症を中心にして解説させて頂いております。

    同じ不眠症でも、今夜もまた眠れなかったらどうしようと睡眠に対する予期不安を感じるような場合は、神経症が原因になっている場合がほとんどだと考えて良いと思います。

    そして、神経症が原因になっている不眠症の場合は、自分の不眠の原因がどこにあるかと色々な本を読んだり、病院巡りをしたり、色々な薬やサプリを試してみたりすることが多いものです。
    また、今ではインターネットで色々なサイトを調べることも多いと思います。

    ですから、今、このページを読まれているあなたも、神経症から来ている不眠症の可能性が高いのではないかと思います。

    そして、この場合は不眠に対する「とらわれ」が原因ですから、病院の薬などを飲み対応しても、なかなか症状が改善してこないことが多いものなのです。
    しかし、森田療法の学習をしていく中で不眠に対する「とらわれ」が薄れてくると、この結果として少しずつ症状が改善してくるものなのです。

    ですから、今、不眠症に悩まれている方は、このページの内容を参考にして、これからの対策を検討してみて頂ければと思っております。

  • 2.不眠症とは

    不眠症は睡眠障害や入眠障害とも呼ばれますが、現代人の悩みとして、かなり多いものだと言われています。

    ただ、先ほども書かせて頂きましたが、この中で、今夜もまた眠れなかったらどうしようと不眠に対する予期不安を感じ、「とらわれ」が出来ている場合は普通神経症に含まれる不眠症の可能性が高くなります。

    そして、この場合は、夜、寝ようと思っても、なかなか眠れない、今夜もまた眠れないのではないかと、常に睡眠の不安にとらわれている状態だと言って良いと思います。

    つまり、この、今夜もまた眠れないのではないかと不安になるのが、予期不安と言われているものであり、神経症から来る不眠症の場合の特徴になります。

    また、神経症から来る不眠症に悩んでいる人は、これと同時に、慢性的な頭痛や肩こりなど自律神経失調症の症状も持っている場合が多いものなのです。

    そして、夜、よく眠れなかったから頭痛がするとか、疲れやすいということで、鎮痛薬や栄養ドリンクといったものを飲んで対策を取っている人も多いものなのです。

    しかし、神経症の「とらわれ」が原因になっている不眠症の場合は、こういう不眠の症状だけに目を向け、これを無くそうとして対策を取ってしまうと、これは森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動ということになってしまうのです。
    ですから、これでは、根本的な対策にはならず、逆に、余計に不眠症の症状を強くしてしまうものなのです。

    つまり、神経症の「とらわれ」が原因になっている不眠症の場合は、うつ病など他の原因の場合とは対応の仕方が全く異なってくるものなのです。

    また、神経症から来る不眠症の場合、人によっては、寝付きは良いけれど、夜中に一度、目を覚ましてしまうと、それから眠れなくなってしまうという中途覚醒型の人も多いものなのです。

    また、本当は神経症から来る不眠症にも関わらず、朝早く目が覚めてしまうということで、うつ病の場合の「早朝覚醒」と勘違いしている人も多いように思います。

    うつ病から来る不眠症の場合は、今夜もまた眠れなかったらどうしようといった予期不安を感じたり、眠れない時に「これは大変だ、どうしよう」と不安になってしまうことは少ないものなのです。

    ですから、この予期不安があるかどうかで、神経症から来る不眠症か、うつ病から来る不眠症かの区別がつくと言って良いと思います。

    また、神経症の「とらわれ」が原因になっている不眠症の場合は、夜、よく眠れなかったからということで、遅くまで寝ていたり、昼寝をしてしまったりすることで、ますます睡眠のリズムを崩し、ストレスを大きくし、ますます症状を強くしている人が多いものなのです。

    また、今は、不眠症の対策も、薬物療法が主体になっていますので、病院でもらった薬が手放させなくなり、処方薬依存症の状態に陥り、何年にも渡って睡眠剤などの薬を飲んでいる人も多いように思います。

    しかし、神経症から来る不眠症の場合は、睡眠剤などの薬を飲むことで、一時的には効果が見られますが、長い目で見ると、かえって、「とらわれ」を強くし、ますます、症状を強くしてしまうものなのです。

  • 3.症状のチェック

    具体的な症状を書かせて頂きます。

    神経症が原因の不眠症のチェック項目

    1)布団に入っても、なかなか眠れない。
    2)いったん寝た後にトイレに起きると、その後、なかなか寝付けない。
    3)眠気は感じるが仕事や勉強はこなせる。
    4)眠れなかった翌日は憂鬱になりやすい。
    5)昼間から今夜眠れるかどうかが気になる。
    6)風の強い日などに音が気になりなかなか眠れない。
    7)ウトウトすると尿意を感じ起きてしまう。
    8)布団に入ったら、すぐに眠れなければという思いが強い。
    9)良く眠れないと体に悪いという気持ちが強い。
    10)何か用事がある時は目覚まし時計より先に目が覚めることが多い。
    11)他の部屋の物音が気になって眠れなくなることがある。
    12)部屋を真っ暗にしないと眠れない。


  • 4.原因

    誰でも、その時の体調のちょっとした違いで、眠れない時はあるものなのです。
    しかし、神経質性格を持ち、常に熟睡できなければならないという「かくあるべし」の理想像に対する「とらわれ」が出来ている人は、たまたま何かの影響で眠れない時に、これは大変だと、うろたえ、無理に寝ようとしてしまうものなのです。
    しかし、これによって、かえって自然な眠気が妨げられ、不眠症になってしまうことが多いものなのです。

  • 5.対策

    神経症の「とらわれ」から来る不眠症の場合は、眠れない時に、「これは大変だ、どうしよう」と考えてしまうものなのですが、こう考えてしまうと、ますます、目が冴えてしまうものなのです。

    ですから、眠れない時の、受け止め方がポイントになります。

    つまり、一晩くらい眠れなくても大丈夫だと、無理に眠ろうとしないようにしていった方が、かえって自然な眠りに入れるものなのです。

    そして、この上で、目的本位や「あるがまま」など、森田療法の考えに従って行動するようにしていくと、不眠に対する不安を必要以上に大きくしなくて済み、少しずつ、不眠症の症状が和らぎ、自然に眠れるようになってくるものなのです。