(原因と対策の説明)
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更新日 2021.09.13
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1.処方薬・市販薬依存症とは
処方薬や市販薬の依存症は神経症に悩んでいる時に起こりやすい睡眠剤や鎮痛剤の場合の話になります。
睡眠剤、頭痛薬などの鎮痛剤、精神安定剤などを継続的に飲んでおり、これらの薬を飲まないと不安を感じてしまい、頭では飲まない方が良いと思っていても薬が手放せない状態になっているのが処方薬・市販薬依存症ということになります。
処方薬・市販薬依存症に悩んでいる人の中には10年、20年と市販の頭痛薬がやめられない状態が続き、このため胃潰瘍や十二指腸潰瘍になってしまう人も多いものです。
なお、睡眠剤や頭痛薬、精神安定剤などをやめられない人は普通神経症に悩んでいる場合が多いものです。
これは、眠れないとか、頭が痛いとか、心が落ち着かないということで、睡眠剤や鎮痛薬、精神安定剤などに頼ってしまい、ここから抜け出せなくなってしまうからなのです。
今は、どこの病院でも薬物療法が主体になっているために、余計に処方薬・市販薬依存症に悩んでいる人が増えているのではないかと思います。
つまり、今は不眠症や頭痛などのために病院に行くと、すぐに薬を出してもらえるために薬に依存しやすい状況になっているのだと思います。
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2.原因
睡眠剤や頭痛薬がやめられない処方薬・市販薬依存症の原因は神経症に悩んでいる時の特徴である「気分本位のクセ」にあるのだと思います。
気分本位というのは森田療法で独自に使われる言葉ですが、その時の気分や症状に引きずられて行動してしまうことを言います。
つまり、眠れないという症状に引きずられ睡眠剤を飲んでしまうというのも神経症の場合は気分本位の行動になってしまうものなのです。
うつ病などの場合であれば、眠れない時に睡眠剤を飲むことは、むしろ大切なことになるのですが、神経症の場合は、これが気分本位の行動ということになり、逆効果になってしまうものなのです。
つまり、一時的には眠れたとしても、長いスパンで見ると、かえって不眠に対する「とらわれ」を強くしてしまうものなのです。
そして、このために、薬の量を増やしても思うように眠れなくなってしまうものなのです。
つまり、こういう気分本位の行動の繰り返しの中で、睡眠剤や頭痛薬がやめられないようになってしまうと言えるのです。
ですから、ここに睡眠剤や頭痛薬がやめられない処方薬・市販薬依存症の原因があると言って良いと思います。
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3.克服法
処方薬・市販薬依存症から抜け出すためには、他の神経症の場合と同様に目的本位の行動を取るようにしていくことが大切になってきます。
目的本位というのは、先ほど書いた気分本位とは逆の意味の言葉になります。
つまり、その時の気分や症状に引きずられずに目の前の「なすべきこと」をこなしていくというのが目的本位の行動ということになるのです。
処方薬・市販薬依存症の場合であれば、眠れない時に眠れなかったらどうしようという不安はそのままに睡眠剤に頼ることを止めるようにしていったり、頭痛を感じ辛い時に頭痛の不安を感じたまま頭痛薬などの鎮痛剤をすぐに飲まないようにしていくということになります。
こういう目的本位の行動を取るようにしていくことが処方薬・市販薬依存症の場合には最も効果的な克服法になると思います。
ただ、これらは言葉で書くと簡単なことのように見えてしまいますが、実際には生易しいことではないのです。
処方薬・市販薬依存症に悩んでいる時は頭では分かっているのに体がついてこないということになりやすいものなのです。
つまり条件反射的に薬を飲んでしまうものなのです。
しかし、森田理論の考え方を参考にしながら目的本位の行動を積み重ねていくと、少しずつ条件反射的に薬を飲んでしまうことがなくなってくるものなのです。
ですから、この方向で対応していくことが処方薬・市販薬依存症の場合の最も適切な克服方法になるのだと思います。