嘔吐恐怖症


(症状と原因、克服のヒントについて)

1.概要説明

嘔吐は食べた物を吐くという意味になりますが、嘔吐恐怖症においては吐き気を催すという意味も含まれます。

このため、嘔吐恐怖症は吐き気恐怖と呼ばれることもあります。

後で具体的な症状については詳しく説明させて頂きますが、嘔吐恐怖症の良く見られる現れ方にはには大きく分けて2通りあります。

1つ目は吐き気のために思うように食べられなくなってしまうという予期不安(外食恐怖)を伴う形です。

食事をする前とか食事をしている時に嘔吐の不安を感じ食べられなくなってしまうという症状になります。
このため、外食が困難になっている人も多いものです。

2つ目は電車とか飛行機といった乗り物に乗っている時に動悸や息苦しさと共に吐き気を感じるという不安発作を伴う形になります。

この場合は乗り物恐怖症と言われている症状に伴って表れるということになります。

このように、嘔吐恐怖症の症状は大きく分けて2通りの現れ方がありますが、症状の不安のために外食が出来なかったり、乗り物に乗る事が出来なくなったりして、社会生活を送る上で支障が出てくるものなのです。

なお、今、説明させていただいた、外食や乗り物に乗る状況を前にして吐き気の不安を強く感じてしまう場合は不安神経症に含まれる症状になります。

これに対して、胃の不快感や、むかつきと共に、常に嘔吐が気になってしまう場合は胃腸神経症過敏性腸症候群と言われる普通神経症の症状に含まれます。

これが不安神経症タイプとは別の、もう1つの良く見られる症状の現れ方になります。

ただ、いずれの場合も実際に吐いてしまうことは少なく、嘔吐したらどうしようという予期不安を感じるところに特徴があります。

これが過食症や拒食症に伴う嘔吐との違いだと言って良いと思います。

つまり、過食症や拒食症に伴う吐き気の場合は実際に嘔吐してしまうことが多いものなのです。


2.症状の特徴

嘔吐恐怖症の特徴は一言で言うと、嘔吐や吐き気に対する恐怖や不安に「とらわれ」が出来た状態だと言って良いのではないかと思います。

吐くことや嘔吐した物、吐き気に何らかの理由で「とらわれ」が出来、ここに注意が向くようになっている状態だと言っても良いと思います。

概要説明のところでも書かせて頂きましたが、不安発作を伴う不安神経症タイプと過敏性腸症候群などの普通神経症タイプ、そして、不潔感の「とらわれ」を伴う強迫神経症タイプの3つに分けて考えることが出来るのではないかと思います。

また、先ほども書きましたが、実際に嘔吐してしまうことは、ほとんどないために拒食症や過食症とは異なると言って良いと思います。

そして、嘔吐恐怖症の場合は不安発作を伴う不安神経症タイプが比率的には最も多いのではないかと思います。

ただ、いずれも神経症に含まれる症状であり、病院で胃カメラなどの検査をしても特に異常が見られないということも特徴になると思います。

つまり、胃腸などの体の異常がないにも関わらず、嘔吐に対して不安や恐怖を感じてしまうというのが嘔吐恐怖症の特徴になると思います。

なお、下記の症状が、嘔吐恐怖症に含まれるものですので、ご自分の症状と照らし合わせてチェックしてみると良いと思います。


(嘔吐恐怖症の具体的な症状)

1.不安発作の1つとして起こる場合
電車や飛行機、バスなどに乗っている時に、突然、嘔吐の恐怖や動悸、めまい、震えなどの症状が起こる。

2.嘔吐に対する予期不安が起こる場合1
また、前のように吐いてしまったらどうしようと吐き気の不安を感じ、家での食事や外食が出来なくなる。

3.嘔吐に対する予期不安が起こる場合2
食べた物を戻してしまうのではないかと感じ、げっぷが出来ず辛い。

4.人目を気にしてしまう場合
つわりなどで体調が悪く吐き気に襲われても、周りの人から変に思われたらどうしようという恐怖心が勝ってしまい、吐く事が出来ない。

5.嘔吐自体に「とらわれ」がある場合
自分自身が吐き気を感じた時や、他人が吐いている現場を見た時、嘔吐を連想させる言葉に接した時に恐怖を感じてしまう。

6.不潔感に「とらわれ」がある場合
嘔吐物自体を見た時や嘔吐を連想させるイメージに接した時に嫌悪感や恐怖を感じてしまう。

7.逃避行動が伴う場合
嘔吐の不安から飲酒や、飲み屋での宴会への参加、ジェットコースターなどの乗り物、胃腸風邪をひいた人、ノロウイルスに感染した人などを避けてしまう。

8.トラウマから起こる場合1
子供の頃に母親が嘔吐している現場を目撃したことをきっかけになり、大人になってからも嘔吐に対して恐怖感や不安を感じてしまう。

9.トラウマから起こる場合2
小学校のバス旅行の時に車酔いをしてしまい、戻してしまった時に、エチケット袋を用意しておらず、嘔吐物がバス内に流れ異臭が広がるというショックな出来事があり、
この時から人前で嘔吐したらどうしようと恐怖や不安を感じてしまう。

10.病気に対する「とらわれ」がある場合
若い頃にノロウィルスに感染し、嘔吐と下痢を繰り返した結果、嘔吐に対して恐怖感を持つようになってしまった。
そして、胃腸風邪やノロウィルスにかかるのはないかと、常にビクビクしてしまう。



今、上に具体的な症状を書かせて頂きましたが、嘔吐恐怖症の症状も他の神経症の場合と同様に基本的には「死の恐怖」が根本にあると言って良いと思います。

食事をしている時や乗り物に乗っている時に吐いてしまい、周りの人たちに無様な姿をさらすことになったらどうしようという社会的な「死の恐怖」が1つだと言えます。

また、より直接的に、吐くことで窒息したりして、そのまま死んでしまったらどうしようという「死の恐怖」もあると思います。

不安神経症の場合は、この直接的な「死の恐怖」が原因になっていることが多いと思います。

上の具体的な症状の中でも書かせて頂きましたが、何かの機会に他人が吐いているところを見たりしてショックを受けたことが、きっかけになり嘔吐恐怖症の症状が起こるようになることも多いものです。

また、子供の頃に嘔吐したことで苦しい思いをしたり、恥ずかしい思いをした経験があると、吐き気に対する「とらわれ」が起こりやすいものなのです。

このように「とらわれ」が原因ですから、胃カメラを飲んだり、内科的な色々な検査をしても異常が見つからないものなのです。

つまり、胃など身体的には異常がないというのが嘔吐恐怖症の場合の特徴になるのです。

ですから、嘔吐のために死んだり、無様な姿をさらすことになったらどうしようという不安に対する「とらわれ」が出来た状態だと言って良いと思います。


3.症状の原因

嘔吐恐怖症の場合も他の神経症の症状と同様に「外的要因」と「内的要因」が重なって症状が起こるようになると言って良いと思います。

「外的要因」としては、人が嘔吐している現場を目撃したとか、ノロウィルスに感染し、嘔吐と下痢を繰り返し辛い思いをしたとか、食べ過ぎが原因で吐いてしまい苦しい思いをしたといった経験が挙げられると思います。

「内的要因」としては、神経質性格であるということが前提として挙げられます。

そして、神経質性格から来る完全欲の強さや心配性といった特徴のために、嘔吐することや吐き気に対して、これらを絶対にあってはならない異常なことだと考えてしまうところに大きな問題があると言って良いと思います。

つまり、こういう「かくあるべし」の誤った認識があると、どうしても、嘔吐や吐き気だけに目を向け、これを無くそうとして誤った方向の行動を取るようになってしまうものなのです。

これが森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動ということになるのですが、これによって嘔吐恐怖症の症状を、ますます強くし「とらわれ」が出来てしまうものなのです。

ですから、ここに一番の原因があると言って良いと思います。


4.克服のためのヒント

今、症状の原因のところでも書かせて頂きましたが、嘔吐恐怖症の場合は胃などの身体的には異常がないものなのです。

ですから、いくら病院の薬を飲んで治療しても、これでは症状は改善してこないものなのです。

つまり、嘔吐恐怖症を克服していくためには嘔吐や吐き気に対する「とらわれ」を解消していくことが大切になってくると言えるのです。

そして、このためには、感情や症状に対する認識を正し、目的本位の行動を積み重ねるようにしていくことが大切になってくると思います。

つまり、嘔吐や吐き気の不安はそのままに目の前の「なすべきこと」を逃げずにこなすようにしていくことが大切なのです。

具体的には、今は吐き気に対する「とらわれ」が出来ている最中だから、嘔吐の不安を感じて当然なんだと受け止めていくことが大切になります。

そして、この上で、目的本位や「あるがまま」など、森田療法の考えに従って行動していくことが大切になるのです。

つまり、嘔吐の不安を感じながらも外食したり、電車や車などに乗って出かけるようにしていくことが大切になってくるのです。

こういう形で目的本位の行動を積み重ねていく中で、嘔吐恐怖症の症状に対する「とらわれ」が和らいでくるものなのです。

つまり、森田療法の学習をしていく中で嘔吐に対する「とらわれ」が薄れてくると、これに比例して少しずつ症状が改善してくるものなのです。

ですから、これが嘔吐恐怖症を克服していくために重要になってくると思います。




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