(症状と原因、治し方について)

  • 更新日 2021.11.05
  • 1.特徴

    腹鳴恐怖症は腹鳴恐怖や、胃腸神経症と呼ばれることもありますが、特に病気ではないのに、お腹が鳴り過ぎたりすることに悩む、普通神経症の代表的な症状になります。

    腹鳴恐怖症の具体的な症状としては、空腹ではないのにお腹がグウグウ鳴る、ガスが溜まる、といった形になります。

    そして、このために、また、お腹が鳴ったらどうしようと不安や恐怖を感じているものなのです。

    また、学生の場合であれば、教室で授業中に、お腹が鳴ることで周りの同級生から変に思われていると感じ、悩んでいることも多いものです。

    そして、腹鳴恐怖症の場合は自分の意志とは無関係にお腹が鳴ってしまうために、お腹に食べ物を入れれば治るのではないかと感じ、必要以上に色々な物を食べてしまう人もいます。

    なお、最近では、過敏性腸症候群という名前をよく聞きますが、この中には腹鳴恐怖症の場合もかなり含まれているのではないかと思います。

  • 2.原因

    もともと心配症で完全欲が強く、人目を気にしやすい傾向の強い神経質性格の特徴を持った人が、たまたま、ある時に人からお腹の鳴る音のことを指摘されたりすると、これがキッカケになって、また、人からお腹の鳴る音が気付かれ、変に思われるのではないかと予期不安を感じるようになってしまうものなのです。

    そして、心身同一論という理論もある位で、心と体は密接に関係していますから、自分のお腹の方に注意が向くことで、ますますお腹が鳴りやすくなるという悪循環が出来てしまうものなのです。

    そして、この結果として腹鳴恐怖症の症状が起こってくると考えて良いと思います。

    つまり、神経質性格の特徴を持っていることと、お腹の鳴る音のことで恥ずかしい経験をしたことで、お腹が鳴ることに対する「とらわれ」が出来、この結果として腹鳴恐怖症が起こってくるということなのです。

  • 3.薬を用いない治し方

    腹鳴恐怖症の場合も、お腹の鳴る音にだけに目を向け、これを無くそうとして薬などを飲んだりしてしまうと、これは森田療法で言っている気分本位の行動になってしまうものなのです。

    ですから、この方向では一時的には調子が良くなったように感じても、長い目で見ると、ますますお腹が鳴りやすくなってしまうものなのです。

    このため、腹鳴恐怖症の場合は、お腹の鳴る音を感じながらも、これをどうのこうのしようとせず、目の前の「なすべきこと」を一つずつ、きちんとこなすようにしていった方が良いと言えるのです。

    これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになるのですが、このように森田療法の考え方に沿って行動の仕方を変えるようにしていくことが、薬を用いない腹鳴恐怖症の治し方ということになります。