(特徴、原因と治し方)

  • 更新日 2023.09.11
  • 1.はじめに

    ミニコミ誌や女性週刊誌などを見ると美容整形の広告がいろいろと載っていますが、それだけ今でも顔の良さに需要があるということなのだと思います。

    ただ、美容整形を利用する人の中には、このページで取り上げている醜形恐怖症の人も多く含まれているのではないかと思います。

    こういう意味で、今、美容整形をしようかと考えている人は、このページの内容に目を通して頂き、手術をするかどうかの判断材料にして頂くことも出来ると思います。

    また、髪の毛が薄くなってきていることで不安を感じているような人の参考にもなるのではないかと思います。

    また、これ以外にも自分の容姿に対して劣等感を感じている人にも参考になると思います。

  • 2.醜形恐怖症の特徴

    客観的に見れば少しも変ではないのに本人が自分の顔に大きな欠点があると思い込み悩んでいるのが醜形恐怖症の特徴になります。

    そして、このために自分の顔を何度も鏡を見て確認したり、着る物やお化粧を必要以上にしてしまうとか、常に他人と自分を比較し落ち込んでいるといった状態になっているのです。

    ただ、これらの行動は自分の顔に対する神経症的な「とらわれ」が出来ているために起こることだと言って良いと思います。

    しかし、これは森田療法の立場から見ると自分の顔に対する「とらわれ」に引きずられた気分本位の「はからい」の行動ということになります。

    ですから、鏡を見たり整形手術をすることで一時的には満足できても、長い目で見ると、ますます自分の顔に対する「とらわれ」を強くすることになってしまうのです。

    こういう意味で醜形恐怖症は強迫神経症の1つの症状になると言って良いと思います。

  • 3.醜形恐怖症かどうかのチェック

    具体的な表れ方を箇条書きでまとめてみましたので参考にしてみて下さい。

    これらの中に当てはまるものがあり、このために日常生活に支障が出ているということであれば、あなたの悩みは醜形恐怖症の可能性が高くなると思います。

    (チェック項目)
    1)自分の顔が異常に気になり何度も鏡を見てしまう。
    2)頭の毛が薄くなったように感じ不安で色々な育毛剤を試している。
    3)着る物に対するこだわりが異常に強い。
    4)顔の形を人と比べて劣等感を感じることが多い。
    5)にきびの後が気になり、色々な薬を買ってしまう。
    6)眉間のしわのために人から変に思われているように感じる。
    7)肌の色が人より黒いように感じることが多く悩んでいる。
    8)毛深いために人と一緒にお風呂に入るのを避けてしまう。
    9)胸が小さいことに異常に引け目を感じてしまう。
    10)自分の顔が醜いために異性からもてないと感じている。
    11)しわが気になり、必要以上にファンデーションを塗ってしまう。
    12)髪の薄さをかくすために帽子をかぶっている。
    13)美容整形に何度も行ってしまう。
    14)醜さを人前にさらすのが嫌で行事などを欠席してしまう。
    15)ショーウィンドーのガラスに映った自分の姿を何度も確認する。
    16)写真やビデオに撮られることを避けてしまう。
    17)身長を高く見せるために底上げの靴を履いている。
    18)痩せるために、何度もダイエットをしてしまう。
    19)メイクを濃くして目の小ささを隠している。
    20)帽子やサングラスで醜いところを隠している。
    21)鏡をみるたびに劣等感を感じ、落ち込む。
    22)周りの人に自分の外見がおかしくないかと確認する。
    23)自分の容姿が恥ずかしくて電車に乗れない。

  • 4.醜形恐怖症に影響すること

    顔が醜いのではないかと悩むような人は人一倍、自分の顔に対する欲求が強いためなのです。

    つまり、醜形恐怖症に悩むような人は、むしろ人よりも美人だったり、イケメンだったりすることが多いものなのです。

    しかし、その人にとっての欲求はもっと上の方にありますから、人より美人だったり、イケメンだったりしても、これに満足することが出来ず、むしろ劣等感を感じることになってしまうのです。

    そして、このような欲求の強さというのは神経質性格の特徴から来ることが多いものなのです。

    ですから、神経質性格を持っていることが醜形恐怖症に悩むようになるかどうかに大きく影響していると言って良いと思います。

  • 5.私の体験から醜形恐怖症について言えること

    今、上にも書きましたが醜形恐怖症に悩むような人は、むしろ美人とかイケメンの人の方が多いものなのです。

    これは字を書く時に手が震えるという書痙に悩んでいる人が、むしろ習字を習っていたりして人よりも字が上手い人が多いのと同じことなのだと思います。

    このように顔に対する主観と客観のギャップがあるというのが醜形恐怖症の場合の特徴だと言って良いのではないかと思います。

    歌手などの芸能人の中には整形手術を何度もする人がいますが、こういう人たちも醜形恐怖症の傾向があるのではないかと思います。

  • 6.原因

    さきほど神経質性格が醜形恐怖症に影響すると書かせて頂きましたが、これが原因の第一に挙げられると思います。

    そして、こういう神経質性格の特徴を持った人が何かのキッカケで自分の顔に対する劣等感を感じ、この劣等感に引きずられて行動してしまうことで、少しずつ顔に対する「とらわれ」を強くし醜形恐怖症の状態になってしまうのです。

    例えば、眉間のしわにとらわれている人は、たまたま、ある時に友達から眉間のしわのことを指摘されたことがキッカケになっていることも多いものなのです。

    ですから、元々持っているその人の神経質性格が1つの原因であり、これにキッカケとなるような出来事が起こると、これが2つ目の原因となり醜形恐怖症が起こるようになると言って良いと思います。

  • 7.治し方

    神経症の「とらわれ」が原因になっている場合は日常生活を送りながら森田療法の学習をしていく中で自覚が深まり「目的本位のクセ」が身に付いてくると、これに比例して顔に対する「とらわれ」が薄れてくるものなのです。

    ですから、これが醜形恐怖症の治し方だと言って良いと思います。

    なお、「とらわれ」が原因の場合でも症状が強くなっている時は日常生活を送ることが難しくなることもあります。

    そして、この場合は医療機関での入院森田療法で対応していくことが必要になってくると思います。

    入院森田療法により森田療法の考え方を身に付けることが出来れば、この結果として「とらわれ」は薄れてくるものなのです。