(症状と原因、薬なしの克服のための説明)

  • 1.はじめに

    緊張して人と思うように話せない、何人かで話している時に話の輪に入れない、大勢の人前で話すような時に声が震えてしまう、会社などで周りに人がいると電話に出たりするのをためらってしまう、人前で字を書く時に手が震えてしまう、人前で汗が異常に出てしまう、といったことで悩んでいる人も多いものです。

    以前は、こういう症状を、あがり症とか対人恐怖症と言っていましたが、今は、これを社会不安障害と呼ぶことが多くなりました。

    ごく最近では、また呼び方が変わり、社交不安障害と呼ぶようになったようですが、名称がいくら変わっても本質的には、あがり症や対人恐怖症と同じ症状だと言って良いと思います。

    そして、今でも、この症状に悩む人が多いものなのです。

    しかし、精神科などの病院で社交不安障害と診断されると、自分が心の病気ではないかと勘違いしてしまうことが多いのではないかと思います。

    現実に、今は社交不安障害を心の病気だと考え、薬による治療を行なっている精神科や心療内科の病院やクリニックが多いものなのです。

    しかし、社会不安障害は、元々は、あがり症や対人恐怖症と言われる強迫神経症の一種であり、薬などを飲まなくても森田療法の学習により充分、対応していける症状なのです。

    しかし、今は、このことを把握してる病院の先生が、ほとんどいなくなっているように思います。

    また、たとえ把握していたとしても、時間と手間のかかる精神療法を行なうよりも薬物療法を選択する先生が、ほとんどなのだと思います。

    そして、このために、本来、飲まなくても良い薬を何年にも渡って飲み続けているにも関わらず、社会不安障害の症状が改善しない人が増えているように思います。

    このページは、こういう現実に今悩んでいる人たちに読んで頂ければと思い、作成いたしました。

    ですから、このページの内容を参考にして、これからの治療方向を検討してみて頂ければと思っております。

  • 2.社会不安障害とは

    この症状は強迫神経症の中でも特に社交上の人間関係に伴う悩みやストレスなど、対人的な不安を強く感じる障害だと言って良いと思います。

    このため、先ほども書かせて頂きましたが、最近では社交不安障害と呼ばれることが多くなりました。
    また、社交不安症と呼ばれることもあります。

    なお、はじめにも書きましたが、社会不安障害の症状は対人恐怖症や、あがり症、社会恐怖と呼ばれている症状と実質的には同じことになります。

    つまり、単に症状名が変わってきただけだと言って良いと思います。

    また、最近、「コミュ障」という言葉を目にすることが多くなりましたが、この症状の中にも社会不安障害の症状が、かなり含まれるのではないかと思います。

    「コミュ障」はコミュニケーション障害の略語であり、発達障害の一種だと言われていますが、症状の内容を見ると社会不安障害とダブっている部分がかなり多いように思います。

    話は戻りますが、社会不安障害のいずれの症状も人から変に思われたらどうしようという、対人関係に伴う社会的な不安が根底にあると言って良いと思います。

    人見知りをするとか、人に気を使ってしまう、人前で緊張するといったことは、誰にでも、その時の状況によっては、多かれ少なかれあるものですが、これらが過度に強くなり、ある特定の症状に、とらわれるようになったのが社会不安障害に陥っている状態だと言って良いのではないかと思います。

    最近はいくらか変わってきているかもしれませんが、日本のような集団行動や社交的な付き合いを重視する村型社会においては、職場や隣近所の人などとの人間関係が崩れることは社会生活を送っていく上で大きなダメージになると言って良いと思います。
    そして、このため、この社会的なダメージに対する恐怖から社会不安障害の症状が起こりやすいのではないかと言われています。

    また、社会不安障害に悩んでいる時は、昔の私もそうでしたが、何とかして症状を克服しようと考え、性格の治し方やスピーチ技術に関する本、名医と言われている先生の書いた心理学関係の本を読んだりすることが多いと思います。

    また中には、瞑想や催眠、呼吸法といった民間療法を試みたり、新興宗教にすがってしまう人も多いように思います。

    しかし、このような社会不安障害の症状だけに目を向け、これを治そうとする行動を取ってしまうと、逆に症状は、かえって強くなってしまうものなのです。

    これは社会不安障害の症状が注意の集中と密接に関係しているからなのです。

    森田療法では、これを「とらわれ」と言っていますが、人前での緊張や人の思惑が気になるといったことや、赤面、手の震え、汗などといった症状に、とらわれている状態が社会不安障害に悩んでいる時の特徴だと言って良いと思います。

    しかし、最近は、アメリカの医学界の影響で、セロトニンなどの脳内にある神経伝達物質の異常が社会不安障害の原因であると考える学者の方やお医者さんが増えてきているようです。

    そして、これが病院やクリニックの薬物療法に拍車をかけているように思います。

  • 3.症状のチェックと診断基準

    社会不安障害の診断基準としては、アメリカ精神医学会による診断基準(DSM-IV-TR)や、世界保健機関(WHO)編の『精神および行動の障害』による診断基準(ICD-10)、アメリカで開発された社会不安障害に対する心理検査の日本語版(LSAS-J)が有名ですが、このページでは独自に下記のような症状のチェック項目をまとめました。

    手前味噌になりますが、この方が、より現実的に社会不安障害かどうかのチェックが出来るのではないかと思っております。

    <社会不安障害の自己診断のためのチェック項目>
    1)自分の内気な性格に劣等感を持ってしまう(劣等感)
    2)苦手な人の前で顔が赤くなる(赤面症)
    3)人前でありのままの自分が出せない
    4)社交上の付き合いで人と会うのが辛い(対人不安)
    5)人前で緊張し自分を出せない(対人緊張)
    6)人といると気疲れしてしまう
    7)人と会った後、自分の言動を後悔し落ち込んでしまう
    8)人のうわさや思惑が気になる
    9)サインなど人前で字を書く手が震えてしまう(書痙)
    10)宴会などでコップを持つ手が震える(震え恐怖)
    11)偉い人や異性などの前で動悸がする
    12)人に頼ってしまう(依存的傾向が強い)
    13)社交的でなく自分に自信が持てない
    14)職場や学校で人の輪に入れない
    15)笑う時に顔が引きつり自然に笑えない(笑顔恐怖症)
    16)自分の顔の表情に自信が持てない(表情恐怖)
    17)人前で汗が異常に出てしまう(多汗症)
    18)会話の時に相手の目を見て話せない(正視恐怖)
    19)人の視線が気になり、ぎこちなくなる(視線恐怖症)
    20)人間不信があり、人が信じられない
    21)会話の途中で言葉が詰まってしまう(吃音症)
    22)休憩時間などに会話の輪に入れない(雑談恐怖)
    23)おならのため人から嫌がられている(おなら恐怖症)
    24)唾の音のため嫌がられていると感じる(唾液恐怖症)
    25)朝礼や会議など大勢の人前で話す時、緊張してしまう(スピーチ恐怖症)
    26)周りの人が気になり電話できない(電話恐怖症)
    27)男性が苦手で緊張してしまう(男性恐怖症)
    28)女性が苦手で思うように付き合えない(女性恐怖症)


    上記のチェック項目に2つ以上、思い当たるところがあれば、社会不安障害の可能性が高いと言って良いと思います。

  • 4.社会不安障害と症状が似ている病気

    チェック項目を上に挙げさせて頂きましたが、他の病気から同じような症状が起こることもありますので、この点は注意が必要だと思います。

    このため、この具体的な病気を紹介させて頂きます。

    4-1)甲状腺機能亢進症
    バセドウ病などで甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になる疾患 全身の働きが過剰になる結果、頻脈や発汗、不安感、震えなどの社会不安障害と似た症状が起こることがあると言われています。

    4-2)パーキンソン病
    脳内のドーパミンの量が減少することで手足の震えが起こる病気ですが、社会不安障害の場合に良く見られる書痙や震え恐怖と間違われることも多い症状だと思います。
    なお、元々、社会不安障害の症状のために精神科や心療内科の病院にかかり、抗うつ薬などの薬を処方され、これを服用することで、手足の震えが起こってくることも多いと思います。
    これはパーキンソン症候群と言われていますが、これは薬の副作用で起こってくる症状だと言って良いと思います。
    そして、今は精神科や心療内科の病院では抗うつ薬などによる治療がメインになっていますから、純粋なパーキンソン病よりも、はるかに発生率は高いのではないかと思います。

    4-3)本態性振戦(老人性、家族性)
    50歳以上の人に見られる震えで、体のどこにでも起こりますが、通常は、片側の手、ついで腕、反対側の手、腕と伝わっていくことが多いようです。
    発症に男女差はないと言われています。
    また、頭や顔の震えで始まることもありますが、この場合は、自分よりも周囲の人に指摘されて気づくことが多いようです。
    文字を書く時やコップを持つ時に手の震えが起こる書痙と言われている社会不安障害の症状が、この本態性振戦と診断されてしまうことが多いと思います。

    4-4)統合失調症
    幻覚や妄想といった陽性症状が有名ですが、陰性症状の中の感情障害として起こる緘黙や拒絶、自閉状態が社会不安障害と症状が似ていると言われています。

    4-5)発達障害
    アスペルガー症候群や高機能自閉症など、知的障害を伴わない、軽度発達障害の場合に社会不安障害と症状が似ているため、間違われることが多いと思います。
    特に最近はインターネットのサイトを見て自分で自分の症状の診断をする人が増え、本当は社会不安障害にも関わらず、自分のことをアスペルガー症候群だと勘違いしている人が増えているように思います。

  • 5.社会不安障害と同時に起こりやすい主な神経症の症状

    下記の強迫神経症の症状は社会不安障害に悩んでいる時に同時に起こることが多いように思います。

    5-1)高所恐怖症
    これは高いビルに上るのが恐いとか、不安で山間にあるような吊橋を通ることが出来ないという症状です。
    パニック障害に悩んでいる時にも見られることが多い症状だと思います。

    5-2)加害恐怖
    車を運転している時に自分では気づかないうちに人を跳ねてしまったのではないかと不安になり確認しに行ったりするのが、この症状になります。
    つまり、人に危害を与えてしまったのではないかということに、とらわれてしまう症状だと言って良いと思います。
    これに悩んでいる時は人目や人の思惑が気になるという社会不安障害と共通する症状も感じていることが多いと思います。

    5-3)雑念恐怖症
    勉強とか仕事をしている時に、全く関係のないことが頭に浮んでしまい、勉強や仕事に集中できなくなってしまうと悩むのが、この症状になります。
    また、電車や隣の家の音が気になり勉強や仕事に集中できないという形で現れてくることも多いものです。
    そして、この場合は雑音恐怖と呼ばれることもあります。

    5-4)嫌疑恐怖
    これは、職場で物がなくなったような時に、自分が盗んだと疑われるのではないかと不安になってしまう症状です。
    この場合も人目が気になったり人の思惑が気になるという社会不安障害と共通する症状が起こることが多いと思います。

    5-5)地震恐怖
    これは、大きな地震が来て家が潰れたりしたらどうしようと、常に地震のことが不安になってしまう症状です。
    雷とか台風といった自然現象全般に対して起こる可能性がありますが、特に地震に対して不安になる症状になります。

    5-6)潔癖症
    これは不潔恐怖症と言われることも多いですが、何度手を洗っても、まだ汚れが取れないように感じてしまうという症状です。
    このため、何時間も手を洗ったり、何度もお風呂に入ってしまうこともあります。
    なお、この症状は統合失調症の場合にも見られることがあるために、病院で統合失調症と誤診されてしまうことも多いように思います。

    5-7)先端恐怖症
    これは鉛筆の先とか、針の先など尖った物を見ると、恐怖や不安を感じてしまうという症状です。
    自分で自分の目を突き刺してしまうのではないかとか、他人を刺してしまうのではないかと不安になる人も多いようです。

    5-8)不完全恐怖
    出かける時に鍵を閉め忘れたのではないかと心配になり、何度も家に確かめに戻ってしまうという形で起こるのが、この症状になります。
    また、仕事をしていて、何度見直してみても、まだ抜けがあるように感じてしまい、年中、残業しているような人もいます。
    つまり、100%完全ではないと気が済まないというのが、この症状に悩んでいる時の特徴だと言って良いと思います。

    5-9)精神病恐怖
    これは自分が鬱病などの心の病気になってしまうのではないかと心配になる症状です。
    最近は鬱病の診断基準が広くなったために、従来、神経症に含まれていたような症状の場合でも、精神科などの病院に行くと鬱病と診断されてしまうことが増えていると思います。
    そして、このために、ますます、この症状に悩む人が増えているのではないかと思います。

    5-10)疾病恐怖症
    心の病気になるのではないかと不安になるのは精神病恐怖ということになりますが、体の病気になるのではないかと不安になるのが、この症状になります。
    体の病気の中でも命に関わるような重大な病気である、ガンとかエイズといった病気が対象になることも多いものです。
    そして、このために、ガン恐怖症やエイズ恐怖といった症状を別にしている位なのです。

    5-11)不眠症
    夜、なかなか眠れないと悩む人は多いものですが、これが慢性的になり、今夜もまた眠れなかったらどうしようと予期不安を感じるようになると、この場合は不眠症ということになります。
    そして、これは社会不安障害に悩むような神経質性格の特徴を持っている人の場合に起こりやすい症状なのです。

    5-12)抑うつ神経症
    さっきも書きましたが、今は、神経症から来る、落ち込みや、やる気のなさといった症状のために心療内科などの病院に行くと、鬱病と診断されてしまうことが多いと思います。
    しかし、これは実際は抑うつ神経症と言われているものなのです。
    ですから、器質的な鬱病とは全く異なるものなのです。
    社会不安障害に悩んでいる時も、人と会った後に自分の言動を後悔し落ち込んでしまうということになりやすいですから、こういう点では共通する部分が多いのではないかと思います。

  • 6.原因

    社会不安障害の原因として今は大きく分けると、下記の2つの説があると言って良いと思います。

    6-1)脳内の神経伝達物質原因説
    セロトニンやド-パミン、ノルアドレナリンなどの脳内にある神経伝達物質のバランスが崩れることで不安や緊張を感じやすくなるという説があり、特にセロトニンは不安や恐怖を抑え、精神のバランスをとる大きな働きを持っていると考えられています。
    そして、このセロトニンがうまく働いていないために不安や恐怖を感じやすくなり、このために社会不安障害の症状が起こるというのが、この原因説になります。

    6-2)神経症原因説
    社会不安障害の原因は、人前で緊張したり、言葉が詰まったり、顔が赤くなったりといった症状を、人から変に思われる異常なこととか、恥ずかしいことだと考える「誤った認識」にあるというのが、この原因説の元になっています。
    つまり、神経質性格の人が、こういう「誤った認識」を持っている時に、人前で話をしていて何かの「キッカケ」で笑われたりするとショックを感じ、この出来事が「外的要因」となり、社会不安障害の症状が起こるようになってくることが多いものなのです。
    つまり、また人前で恥ずかしい思いをしたらどうしようと不安を感じ、人を避けることを繰り返してしまうことで、症状に対する「とらわれ」が出来てしまうものなのです。
    そして、この結果、ますます社会不安障害の症状を起こしやすくしてしまうということなのです。
    つまり、脳内の神経伝達物質といった物質的なものではなく、不安や症状に対する「とらわれ」が原因であるという説になります。

  • 7.脳内の神経伝達物質を原因とした場合の治療法

    これが現在、心療内科や精神科における一般的な治療方法ということになると思います。

    そして、この場合は薬物療法が基本になります。

    具体的には抗うつ薬の一種であるSSRI(パキシルなど)と抗不安薬を用いることが多いと思います。

    さきほども書かせて頂きましたが、もともと、SSRIなどの薬物治療が可能なようにということで導き出された原因ですから、治療方法も、これに沿ったものになって当然だと思います。

    また、こういう薬と併行して認知行動療法などを取り入れることもあるようですが、これは薬物療法だけでは、思うような効果が得られていない証拠なのだと思います。

    また、認知行動療法は、もともと器質的な鬱病を対象としたものですから、社会不安障害の治療において薬物療法と併用しても、思うような効果が得られなくて当然ではないかと思います。

    そして、このためにSSRIや抗不安薬といった精神科や心療内科の薬を何年にも渡って飲み続けている人が今は増えているのではないかと思います。

    しかし、器質的な鬱病や統合失調症の場合であれば薬を飲む事で症状が改善してくることも多いと思いますが、社会不安障害の場合は元々、脳や神経には異常がありませんから、症状はあまり改善してこないのだと思います。

    むしろ、SSRIなどの薬の副作用のために眠気や、やる気のなさを強くし、薬剤性のうつ病状態に陥り、かえって治りを遅くしていることも多いのではないかと思います。

  • 8.神経症が原因の場合の克服方法

    森田療法では、社会不安障害は人から変に思われたらどうしようという不安に対する「とらわれ」、つまり心の置き所が原因だと考えています。

    ですから、森田療法の学習をしていく中で目的本位の行動を積み重ね、人から変に思われたらどうしようという不安に対する「とらわれ」が薄れてくればくれば、これに比例して症状は改善してくるものなのです。

    つまり、顔が赤くなったり、言葉に詰まったり、手が震えたりすることで、人から変に思われたらどうしようという不安はそのままに、人と接するようにしていくのが目的本位の行動ということになるのですが、この方向で行動していくことが社会不安障害克服のための一番確実な方法になると言えるのです。

    ですから社会不安障害の場合はSSRIや抗不安薬といった薬で治療するよりも森田療法の学習で対応していった方が根本的な改善に結びつくと言って良いと思います。

    つまり、これが神経症が原因であると考えた場合の克服方法になります。

  • 9.まとめ

    以上で社会不安障害についての解説を終わらせていただきますが、もし、いくらかでも納得できる部分があれば、このサイトの無料診断のページから、あなたの今の悩みや症状のことなどを書いて送って下さい。

    送って頂いた内容を拝見し、あなたの今の悩みや症状がMTカウンセリングに適用できるかどうかを判断させて頂きます。

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