(原因と克服方法の解説)

  • 更新日 2021.05.14
  • 1.はじめに

    不安神経症は最近ではパニック障害と呼ばれることが多くなりましたが、突然の心臓のドキドキやバクバク、息苦しさのために飛行機や電車などの乗り物に乗るのが怖いと感じる悩みになります。

    このページは今、病院の薬を何年も飲んでいるけれど、なかなか改善しないという人に、少しでも参考にして頂ければと思い作成いたしました。

    ですから今悩んでいる方は、このページの内容を参考にして克服の糸口を見つけていただければと思っております。

  • 2.不安神経症とは

    不安神経症は電車や飛行機などに乗っている時の突然のドキドキや、めまい、息苦しさのために、このまま死んでしまったらどうしようと「死の恐怖」を感じるという形で現れることが多いものです。

    また、後で詳しく説明させて頂きますが、怖くて高層ビルの高い階に行くことが出来ないとか、寝ている時に突然息苦しくなるとか、一人で留守番することが出来ない、飛行機に乗れない、心臓が痛くなるなど、色々な形で症状が現れてきます。

    ただ、いずれの場合も、ドキドキや息苦しさなどのために、このまま死んでしまったらどうしようと「死の恐怖」を直接的に感じる傾向が強いものです。

    つまり、これが不安神経症の場合の特徴だと言って良いと思います。

  • 3.不安神経症かどうかのチェック

    重複している部分があると思いますが、下記に挙げさせて頂いたものが代表的な例になりますので、ご自分の悩みと照らし合わせてチェックしてみると良いと思います。

    1.動悸や、めまい、息苦しさなどの不安のために、電車やバス、飛行機などの乗り物に乗れなくなってしまう。

    2.乗り物に乗っていたり、ベッドで寝ている時に、突然、心臓がドキドキしたり、バクバクして、このまま死んでしまうように感じる。

    3.夜寝る時や朝起きる時、人込みの中にいる時などに、息がうまく吸えず、失神するのではないかと不安になる。

    4.道を歩いている時などに、浮遊感や、クラクラ感のために真っ直ぐに歩けない。

    5.学校の授業中とか仕事の最中に、突然に胸が締め付けられ、呼吸が速くなり空気が吸い込めない感じになる。

    6.突然のドキドキや息苦しさ、めまいなどのために、このまま死んでしまうのではないかと「死の恐怖」を感じる。

    7.家族が仕事で出かけたりして家に一人でいる時に発作が起こったことがあり、また、同じようになったらどうしようと不安になる。

    8.胸の痛みや違和感のため心臓に異常があり死んでしまうのではないかと感じ、不安になる。

    9.ドキドキや、めまい、吐き気などの不安のために、家族と一緒でないと外出できず、仕事にも行けない状態になっている。

    10.エレベーターや歯医者、美容院など精神的に密閉された空間にいると苦しくなり冷や汗が出る。

    11.急行や特急など停車間隔が長い電車に乗っている時にドキドキや吐き気などの不安が起こる。

    12.仕事で出張する時やグループで旅行に行く時などに不安になり飛行機に乗るのを避けてしまう。

    13.道を歩いている時などに息苦しさや呼吸のしにくさから、このまま死んだらどうしようと感じる。

    14.突然、胸が痛くなり、このまま死ぬのではないかと不安になる。

    15.病院の治療や検査でMRIやCTの装置に入る時に不安になる。

    16.また心臓がドキドキしパニックになったらどうしようと感じ、思うように行動できない。

    17.歯医者や美容室などに対して不安を抱き、そのような場所や状況を避けてしまう。

    18.吐き気や嘔吐の不安のために外出したり、人と一緒に食事が出来ない。

    19.高いビルや橋などに行くことに対して恐怖や不安を感じてしまう。また、ジェットコースターのある遊園地などにも行けない。

    20.吐き気や息苦しさ、めまいなどの不安のために、レストランなどで食事が出来ない。

    21.高速道路でパニックになってから、車の運転が怖いので避けてしまう。

    22.自分で運転する時は良いけれど、人の運転する車に乗るのが怖い。

    23.出張で必要な時でも飛行機に乗るのが怖いので避けてしまう。

    24.渋滞でトンネルの中で車が止まった時に、急に息が苦しくなり全身から汗が噴き出し叫び出したくなったことがある。

  • 4.不安神経症に含まれる症状の例

    下記のような症状もよく見られるものになります。

    1)胸痛
    これは電車や飛行機、高速道路を走っている車の中、エレベーターや会議室、映画館、美容院など、その場から簡単に出られないような状況に置かれた時に胸がチクチク痛むといった形で起こってくる悩みになります。
    また、痛みというよりも違和感といった感じで起こることも多いようです。
    いずれにしても、本当に心臓に異常がある場合の痛みから比べると軽い痛みということになります。

    2)外食恐怖
    これは人と一緒にレストランなどに食事に行った時に吐き気やめまいが起こったことがあり、このために外食が出来なくなってしまうという悩みになります。
    ですから、この悩みの場合は対人緊張などとは別になります。

    3)飛行機恐怖症
    乗り物の中でも飛行機が特に苦手という人も多いものなのです。
    飛行機は普段はあまり乗らないものであり、また、空を飛ぶという特殊な条件があるために機内の密閉度が他の乗り物よりも強くなっているということも影響しているのではないかと思います。
    そして、この悩みのために国内であれば遠方でも新幹線を利用するという人も多いものなのです。

  • 5.不安神経症に影響すること

    ドキドキや息苦しさから、このまま死んでしまうのではないかと感じ、パニックになってしまうのが不安神経症の場合の特徴ですが、この背景には、より良く生きたいという「生の欲望」の強さがあるのだと思います。

    そして、こういう「生の欲望」の強さというのは神経質性格の特徴から来ているものなのです。

    つまり、神経質性格の特徴を持っているかどうかが大きく影響していると言って良いと思います。

    ただ不安神経症に悩むようなタイプの人は内向的で人付き合いが苦手という面は少ないように思います。

    むしろ、陽気で外交的に見られる人の方が多いのではないかと思います。

    ただ、欲求の強さや完全欲の強さといった神経質性格の特徴は充分、持っているのだと思います。

  • 6.原因

    不安神経症の場合は他のタイプの神経症の場合よりも、より直接的に「死の恐怖」が影響していると言って良いと思います。

    つまり、ドキドキや息苦しさとが起こった時に、このまま死んでしまうのではないかとか、大勢の人前で無様な姿をさらすことになるのではないかといった不安を感じることが多いものなのです。

    また、不安神経症が起こる「キッカケ」は、例にも書かせて頂きましたが、たまたま寝不足などで体調が悪い時に電車の中で突然、激しい動悸や息苦しさを感じ不安になってしまったといったショックな出来事が挙げられると思います。

    これが、いわゆる「外的要因」ということになります。

    そして、元々、心配性で完璧主義な神経質性格の特徴を持っており、これにプラスして不安などの感情に対する間違った考え方を持っていると、これが「内的要因」になり、ますます不安やドキドキを強くすることになってしまうのです。

    つまり、こういう「内的要因」と「外的要因」が重なることで不安神経症が起こるようになるです。

    そして、不安やドキドキだけに目を向け、これを無くそうとする行動を繰り返すことで、逆にますます不安やドキドキを強くしてしまうものなのです。

    これが森田療法で言っている気分本位の行動ということになるのですが、こういう気分本位の行動を繰り返すことで、ますます不安やドキドキに対する「とらわれ」が強くなってしまうのです。

    ですから、ここに原因があると言って良いと思います。

  • 7.薬を用いない克服方法

    今は「とらわれ」が原因になっている場合でも病院では薬による対応がメインになっていると思います。

    しかし、これは森田療法の立場から見ると、気分本位の誤った方向の対応ということになってしまうと思います。

    つまり、不安神経症の原因は死の恐怖に対する「とらわれ」にありますから、この「とらわれ」を解消していくことが本来の対応であり、また、根本的な克服に結びつくのだと思います。

    つまり、薬を用いず、目的本位や「あるがまま」など森田療法の考えに沿って行動していく中で「死の恐怖」に対する「とらわれ」が解消されてくれば、これで充分、根本的に克服していくことが出来るものなのです。

    なお、ドキドキや、めまい、吐き気、息苦しさといった状態に陥った時に「これは、大変だ」とか「このまま死んでしまったら、どうしよう」と考えてしまうと、さらに不安を大きくしてしまうものなのです。

    しかし、今までに「とらわれ」から来るドキドキや、めまい、吐き気、息苦しさのために命を失ったり、体に障害を残すようなことになった人は、一人もいないのです。

    ですから、まず、この事実をきちんと自覚していくことが大切だと思います。

    そして、この上で、目的本位や「あるがまま」など、森田療法の考えに従って行動するようにしていくと、不安を必要以上に大きくしなくて済み、少しずつ良い方向に向いてくるものなのです。