(症状のチェックと原因、克服について)

  • 1.はじめに

    不安神経症は突然の動悸や息苦しさといった症状のために飛行機や電車などの乗り物に乗るのが怖いと訴えるのが代表的な症状になります。

    最近は不安神経症のことを全般性不安障害という診断名で呼ぶ医師が多くなりましたが、これは従来、普通神経症と言われていた症状まで含んでいるように感じます。

    ですから、このことは頭の隅に置いておいた方が良いと思います。

    精神的な悩みや症状といったものは、昔も今も、ほとんど変わらないのではないかと思いますが、学会や医療機関で用いられる病名が変わることで、悩みや症状も変化したように誤解してしまい、その治療方法も変わってしまうということが多いように思います。

    つまり、従来、神経症と呼ばれていた時には薬よりも森田療法などの精神療法による治療が重視されていましたが、学会や医療機関で全般性不安障害とかパニック障害という新しい病名が用いられることで薬物療法が主体になってきているように思います。

    しかし、不安神経症は元々、脳や神経には異常がなく、動悸や息苦しさのために、このまま死んでしまったらどうしようという、死の恐怖に対するとらわれが原因ですから、いくら薬を飲んでも根本的な克服には結びつかないように思います。

    このページは、今、心療内科や精神科などの医療機関で治療を受け、薬を何年も飲んでいるけれど、なかなか症状が改善しないという人に、少しでも参考にして頂ければと思い、作成いたしました。

    ですから、このページの内容を参考にして克服の糸口を見つけていただければと思っております。

    なお、森田療法というのは大正から昭和にかけて東京慈恵会医科大学教授などをされていた森田正馬先生が創始されたものであり、当時は多くの医療機関で実施されていたものです。

    しかし、現在では森田療法に沿った治療を実施している心療内科や精神科の医師はほとんどいなくなっています。

    ただ、これは森田療法の効果がないからではなく、薬による治療の方が手間がかからず数をこなせるからだと思います。

    また、薬物療法であればマニュアル通りに行なえば、それほど診療経験がなくても行なえるという手軽さがあるからなのだと思います。

    しかし、薬物療法は手軽で診療経験が浅くても行なえる反面、神経症の根治にはたどり着きにくい面があると思います。

    これに対して、森田療法の場合は神経症の根治に有効なのですが、治療者自身も神経質性格を持ち、ある程度の治療経験がないと実施することが難しいという面があります。

    このため、大学の医学部で表面的な知識を身に付けただけでは治療を行なうことが難しいために、現在では、森田療法を専門にする先生が、ほとんどいなくなっているのだと思います。

    ただ、幸いなことに森田療法は他の精神療法とは異なり学習的な側面が強いという特徴があります。

    このため、神経症の症状で辛い思いをしながらも、何とか毎日の生活を送ることの出来ている人であれば、医療機関にかからずに、(NPO 法人)生活の発見会などの学習団体やメールカウンセリングを通して、森田療法の考え方を身に付けることで症状を克服することが出来ると言われてます。

  • 2.不安神経症とは

    今、上にも書きましたが、不安神経症は最近、パニック障害とか全般性不安障害などと呼ばれている症状と、実質的には同じになります。

    ただ、このサイトでは名称ごとに分けて説明させて頂いておりますので、ご了承いただければと思っております。

    本題に戻りますが、不安神経症の症状として良く見られるのは、電車や飛行機などに乗っている時の突然の動悸や、めまい、息苦しさ(窒息感)であり、このために、このまま死んでしまったらどうしようと「死の恐怖」を感じるという形で現れることが多いものです。

    また、後で詳しく説明させて頂きますが、怖くて高層ビルの高い階に行くことが出来ないとか、寝ている時に突然息苦しくなるとか、一人で留守番することが出来ない、飛行機に乗れない、心臓が痛くなるなど、色々な形で症状が現れてきます。

    ただ、いずれの場合も、動悸や息苦しさなどの症状のために、このまま死んでしまったらどうしようと「死の恐怖」を直接的に感じるというところに特徴があります。

    つまり、これが不安神経症の場合の特徴だと言って良いと思います。

  • 3.ある方の体験例

    不安神経症に悩んでいる人の一例を挙げますと、下記のようになります。


    (不安神経症に悩むMさんの例)

    ある会社に勤めるサラリーマンのMさんは営業部の社員として仕事で常にトップに近い成績を上げていました。

    接待などで毎日のように夜遅くまで残業をし、休日も仕事の付き合いに費やすほど仕事熱心なMさんでしたが、ある朝、会社へ向かう通勤途中の電車の中で、突然、激しい動悸と息苦しさを感じ不安になってしまいました。

    心臓発作でこのまま死んでしまったらどうしようと不安を感じ、途中の駅で電車を降りてしまいました。

    この日のショックな出来事が「キッカケ」となり、これ以降、会社へ向かう通勤の電車の中で、たびたび動悸や息苦しさを繰り返すようになり、とうとう、「またあの苦しさが起きるのではないか」と電車に乗る前から意識するようになってしまいました。

    そして、通勤ラッシュを避けて通勤したり、途中下車を繰り返すようになりました。

    思いあまったMさんは心療内科の病院を訪れ、医師の診察の結果、自分の症状の原因が不安神経症であることを知りました。

    そして、病院で出してもらった動悸や息苦しさ、不安を抑える薬を飲む治療を始めました。

    治療をしていく中で、確かに薬を飲むと、いくらか動悸や息苦しさ、不安が和らぐことを感じましたが、このまま自分は一生、薬を飲み続けなければならないのかと、今度は薬を飲み続けることに対しても不安を感じるようになりました。

    しかし、病院からもらった薬を飲まないと、動悸や息苦しさ、不安で電車にも乗れないということで、毎日、葛藤を感じながら過ごしているのです。


    この例の人のように、病院の薬物治療を受けつつも、このまま薬を飲み続けて本当に不安神経症の症状が治るのだろうかと、治療の仕方や治療法に不安を感じている人が、今は増えているように思います。

    しかし、かえって、こういう薬の治療に対する不安を感じる位の人の方が神経質性格の特徴を持っているということになり、MTカウンセリングを通して、森田療法の考え方を身に付けることで不安神経症の症状を克服していくことが出来るものなのです。

    なお、不安神経症に悩む人は、一般的に強迫神経症に悩む人のように人見知りするとか、恥ずかしがり屋という面が少なく、むしろ外向的に見える人が多いように思います。

  • 4.不安神経症の具体的な症状(診断基準)

    下記の症状が、不安神経症の代表的なものですので、ご自分の悩みと照らし合わせてチェックしてみると良いのではないかと思います。

    1.動悸や、めまい、息苦しさなどの不安発作の症状のために、電車やバス、飛行機などの乗り物に乗れなくなってしまう。

    2.乗り物に乗っていたり、ベッドで寝ている時に、突然、心臓がドキドキしたり、バクバクして、このまま死んでしまうように感じる。

    3.夜寝る時や朝起きる時、人込みの中にいる時などに、息がうまく吸えず、失神するのではないかと不安になる。

    4.道を歩いている時などに、浮遊感や、クラクラ感のために真っ直ぐに歩けない。

    5.学校の授業中とか仕事の最中に、突然に胸が締め付けられ、呼吸が速くなり空気が吸い込めない感じになる。

    6.突然の動悸や息苦しさ、めまいなどのために、このまま死んでしまうのではないかと「死の恐怖」を感じる。

    7.家族が仕事で出かけたりして家に一人でいる時に不安発作の症状が起こったことがあり、また、同じようになったらどうしようと不安になる。

    8.動悸や胸の痛み、違和感のため、心臓に異常があり死んでしまうのではないかと感じ、不安になる。

    9.動悸や、めまい、吐き気などの不安のために、家族と一緒でないと外出できず、仕事にも行けない状態になっている。

    10.エレベーターや歯医者、美容院など精神的に密閉された空間にいると動悸や息苦しさなどの症状が起こるのではないかと不安になってしまう。

    11.急行や特急など停車間隔が長い電車に乗っている時に動悸や吐き気などの不安発作の症状が起こる。

    12.仕事で出張する時やグループで旅行に行く時などにパニック発作の症状が起こるのではないかと不安になり飛行機に乗るのを避けてしまう。

    13.道を歩いている時などに息苦しさと共に感じることが多く、呼吸のしにくさから、このまま死んだらどうしようと「死の恐怖」を感じる。

    14.突然、胸が痛くなり、このまま死ぬのではないかと不安になる。

    15.病院の治療や検査でMRIやCTの装置に入る時に動機や息苦しさが起こる。

    16.また心臓がドキドキしパニックになったらどうしようと感じ、思うように行動できない。

    17.歯医者や美容室など不安発作が起こった場所や状況に対して不安を抱き、そのような場所や状況を避けてしまう。

    18.吐き気や嘔吐の不安のために外出したり、人と一緒に食事が出来ない。

    19.高いビルや橋などに行くことに対して恐怖や不安を感じてしまう。また、ジェットコースターのある遊園地などにも行けない。

    20.吐き気や息苦しさ、めまいなどの不安のために、レストランなどで食事が出来ない。

    21.高速道路でパニックになってから、車の運転が怖いので避けてしまう。

    22.自分で運転する時は良いけれど、人の運転する車に乗るのが怖い。

    23.出張で必要な時でも飛行機に乗るのが怖いので避けてしまう。


    なお、公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団のホームページにも不安神経症に関する具体的な症状が載っているので参考になると思います。

  • 5.原因

    不安神経症の場合は他のタイプの神経症の場合よりも、より直接的に「死の恐怖」が影響していると言って良いと思います。

    つまり、動悸や息苦しさといった症状が起こった時に、このまま死んでしまうのではないかとか、大勢の人前で無様な姿をさらすことになるのではないかといった不安を感じることが多いものなのです。

    また、不安神経症の症状が起こる「キッカケ」は、例にも書かせて頂きましたが、たまたま寝不足などで体調が悪い時に電車の中で突然、激しい動悸や息苦しさを感じ不安になってしまったといったショックな出来事が挙げられると思います。

    これが、いわゆる「外的要因」ということになります。

    そして、元々、心配性で完璧主義な神経質性格の特徴を持っており、これにプラスして感情や症状に対する誤った認識を持っていると、これが「内的要因」になり、ますます症状を強くすることになってしまうのです。

    つまり、こういう「内的要因」と「外的要因」が重なることで不安神経症の症状が起こるようになるものなのです。

    そして、誤った認識に引きずられ、不安や症状だけに目を向け、これを無くそうとする行動を繰り返すことで、症状をさらに強くしてしまうものなのです。

    これが森田療法で言っている気分本位の行動ということになるのですが、こういう気分本位の行動を繰り返すことで、ますます不安神経症の症状が強くなり、「とらわれ」が強固なものになってしまうのです。

    ですから、ここに原因があると言って良いと思います。

  • 6.不安神経症と間違いやすい症状

    最近は不安神経症の症状にも関わらず体の病気だと誤解されることが増えてきている症状もありますので、下記にまとめさせて頂きます。

    1.起立性調節障害
    中学生位の思春期の女子に多く見られる症状だと言われています。
    めまい、立ちくらみ、動悸、息切れなど不安神経症と同じような症状が現れますので、誤った診断をされやすいものだと思います。

    2.良性発作性頭位めまい症
    単に、めまい症と呼ばれることも多いですが、これは耳石の異常により起こると考えられている体の異常から来る症状です。
    しかし、神経症から来ているにも関わらず、めまい症と診断されてしまうケースも中にはあると思います。

    3.メニエール病
    激しい回転性のめまいや難聴、耳鳴り、耳閉感という4つの症状を繰り返す内耳の疾患ですが、不安神経症から来る「めまい」の場合に、この病気と診断されてしまうことも多いように思います。


    上記の病気と診断され、医療機関に通院しているけれど、なかなか症状が改善しないという方は、不安神経症の可能性が大きくなると思いますので、このページの内容を参考にし、再チェックしてみると良いと思います。

  • 7.診断と薬による治療法

    メンタルクリニックなどの医療機関における不安神経症の診断は、4の症状のチェックのところで書かせていただいたような症状があるかどうかが基本になると思います。

    そして、この上で、尿や血液、心電図、X線、超音波、CT、MRIなどの一般内科的検査において異常が見られない場合に不安神経症や全般性不安障害という診断がされます。

    ただ、現在の医療機関における治療法は、ほとんどの場合、薬物療法になっていると思います。

    具体的にはデパス、リーゼ、セルシン、ワイパックス、コンスタン、ソラナックス、エリスパン、レキソタン、セルシン、セパゾン、ルボックスなどのベンゾジアゼピン誘導体系の抗不安薬が用いられることが多いと思います。

    また、デプロメール、パキシル、ルボックス、ジェイゾロフトなどの、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と言われている新しいタイプの抗うつ薬が併用されることも多いようです。

    また、中には、加味逍遥散、加味帰脾湯、柴胡可竜骨牡蛎湯、柴朴湯、茯苓飲合半夏厚朴湯、黄連解毒湯、抑肝散などの漢方薬を治療に用いる医療機関もあるようです。

  • 8.薬を使わず克服する方法

    今、上にも書きましたが、今の精神科や心療内科の病院では不安神経症を全般性不安障害といった病名で呼ぶ事が多くなり、抗不安薬や、SSRIといった抗うつ薬による治療法がメインになっていると思います。

    また、中には漢方薬で治療しようとする病院もあるように思います。

    しかし、これらは不安神経症の症状だけに目を向け、これをなくそうとする方向ですから、森田療法の立場から見ると、気分本位の誤った方向の治療法ということになってしまうと思います。

    しかし、今は製薬会社と医療法人の結びつきが強くなっているため、不安神経症の場合でも薬による治療がメインになってしまうのは仕方がない面があると思います。

    しかし、不安神経症の原因は脳や神経の異常ではなく、死の恐怖に対するとらわれにありますから、このとらわれを解消していくことが本来の治療法であり、また、症状の根本的な克服、つまり、完治に結びつくのだと思います。

    今は不安神経症に悩みメンタルクリニックなどの医療機関に通院し、病院の薬を何年も飲んでいるにも関わらず症状が改善してこないと言う人も多いという話をよく聞きます。

    そして、これも今の薬物療法が不安神経症の本来の治療法になっていないからではないかと思います。

    しかし、薬に頼らず、目的本位や「あるがまま」など森田療法の考えに沿って行動していく中で「死の恐怖」に対する「とらわれ」が解消されてくれば、これで充分、症状を根本的に克服していくことが出来るものなのです。

    なお、動悸や、めまい、吐き気、息苦しさといった、不安神経症の特徴的な症状である、「不安発作」が起こった時に「これは、大変だ」とか「このまま死んでしまったら、どうしよう」と考えてしまうと、さらに不安を大きくしてしまうものなのです。

    しかし、今までに「不安発作」のために命を失ったり、体に障害を残すようなことになった人は、一人もいないのです。

    ですから、まず、この事実をきちんと自覚していくことが大切だと思います。

    そして、この上で、目的本位や「あるがまま」など、森田療法の考えに従って行動するようにしていくと、不安を必要以上に大きくしなくて済み、また、少しずつ症状を克服していくことが出来るものなのです。

    ですから、これが薬を使わずに済む最も良い克服法になると思います。

  • 8.まとめ

    不安神経症の原因や対策について色々説明させて頂きましたが、今、飛行機や電車に乗るのが怖いとか、不安で車の運転が出来ないといったことに悩んでいる方で、心配性や完璧主義といった神経質性格の特徴を持っている人であれば、MTカウンセリングを通して森田療法の学習をしていく中で、症状を克服していくことが可能だと思います。

    なお、無料診断のページから、症状のことなどを書いて、お問い合わせを頂ければ、あなたの悩みがMTカウンセリングに適用できるかどうかを判断させて頂きます。

  • また、もし、このページの内容が参考になったと思われる方は、下のボタンから共有して頂けると助かります。

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