(原因と克服方法の解説)
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更新日 2021.08.03
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1.はじめに
人と話している時に自分の表情が相手から変に思われているのではないかと感じ悩んでしまう人も世の中には案外多いものです。
思春期の頃は特にこの傾向が強いのではないかと思います。
しかし、思春期を過ぎ大人になってからも自分の表情のことで悩んでいる人も多いものなのです。
これが森田療法で表情恐怖と言われているものであり、このページではこの悩みについて解説させて頂きます。
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2.表情恐怖とは
これは自分の顔の表情が人から変に思われていると気になってしまう悩みであり醜形恐怖の一種になります。
醜形恐怖の場合は自分の顔だけではなく身体全体の色々な部分が対象になります。
しかし、最も多いのが顔の表情に関する悩みになりますので、これだけを別にして表情恐怖という名称が用いられています。
この悩みには人前で緊張し、ほほが引きつったり、ぴくぴく動いて自然に笑えないという笑顔恐怖症も含まれると思いますが、笑う時だけではなく常に自分の表情が気になってしまうというのが表情恐怖の状態になります。
ある人は、人から目が死んでいるようだと言われたことを「きっかけ」にして、常に自分の目が人から変に思われていると気になるようになってしまいました。
また、眉間にしわが寄ることで人から変に思われると考え、常に自分の眉間のしわが気になってしまう人もいます。
また、若いうちから頭の毛が薄くなってしまい、このことに悩んでしまうというのも広く考えれば自己表情恐怖の一つに入るかもしれません。
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3.表情恐怖かどうかのチェック
自分の顔の表情が人から変に思われていると気になる悩みの具体的なパターンを箇条書きでまとめました。
これらの例の中にもし当てはまるものがあれば、あなたの悩みは表情恐怖の可能性が高くなると思います。
1)人前で緊張し、ほほが引きつる。
2)まぶたがピクピク動くので人から変に思われる。
3)人から目が死んでいると言われ、気になっている。
4)眉間のしわのために人から変に思われると感じ辛い。
5)自分の顔つきが暗いように感じ劣等感を持っている。
6)鼻の形が悪いことが異常に気になる。
7)髪の毛が薄いことで人からバカにされているように感じる。
8)鏡で自分の顔を一日に何度も見る。
9)写真やビデオに撮られることを避けてしまう。
10)マスクや帽子、サングラスで顔の表情が分からないようにしている。
11)鏡に写る自分の顔を見て落ち込むことが多い。
12)お化粧に時間がかかることが多い。
13)人から悲しい目をしていると言われたことがある。 -
4.表情恐怖に影響すること
自分の顔の表情が人から変に思われているように感じ悩んでしまう背景には、その人の持っている性格が一番、影響しています。
つまり、人からどう思われても良いと感じている人の場合は、けっして自分の顔の表情のことで悩むようなことはないものなのです。
ですから人目を気にしやすいとか、物事にとらわれやすい特徴を持った性格ということになりますが、これが森田療法で言っている神経質性格ということになります。
つまり、神経質性格の特徴である、心配性、執着性の強さ、自己内省性の強さ、欲求の強さといったものがマイナスに発揮されると表情恐怖に陥ってしまうのです。
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5.原因
さきほども書きましたが、表情恐怖に悩むようになるかどうかは、その人の持っている性格、つまり神経質性格を持っているかどうかが第一の原因になります。
そして、こういう神経質性格の特徴を持っている人が、たまたま周りの人から言われた言葉をキッカケにして悩むようになることが多いものなのです。
つまり、こういう、その人にとってショックな出来事がもう一つの原因ということになります。
ですから、この2つの原因によって表情恐怖の状態に陥ると言って良いと思います。
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6.薬を用いない克服方法
表情恐怖においても症状に悩み辛い思いをしながらも学校や会社に行ったりすることが出来、何とか日常生活を送ることの出来ている人の場合であれば他の神経症の場合と同様に森田理論の学習をしていく中で自覚が深まり目的本位の「クセ」が付いてくると、これに比例して少しずつ良い方向に向いてくるものなのです。
そして、この結果、表情恐怖を克服することが出来るものなのです。
ですから、これが薬を用いない克服方法になると言って良いと思います。