不安神経症


(症状のチェックと原因、克服について)

1.はじめに

不安神経症は突然の動悸などが起こる不安発作が特徴であり、今、パニック障害と呼ばれている症状に近いと思います。

最近は不安神経症のことを全般性不安障害という診断名で呼ぶ事が多くなりましたが、これは従来、普通神経症と言われていた症状まで含んでいるように感じます。

しかし、元々は突然起こる不安発作が主な症状になりますので、今、パニック障害と呼ばれている症状の方が近いと思います。

また、最近は神経症という症状名自体も国際疾病分類などでは用いられなくなっているようですが、症状名が変わることで、何か新しい病気が発見されたのではないかと誤解してしまう人も多いのではないかと思います。

しかし、精神的な悩みというのは、昔も今も、ほとんど変わらないと言って良いのではないかと思います。

しかし、困ったことに、病名や症状名が変わることで、治療方法が変わってしまうということも多いように思います。

つまり、従来、神経症と呼ばれていた時には薬による治療よりも精神療法による治療が重視されていましたが、全般性不安障害とかパニック障害という新しい病名がつくことで薬物療法が主体になってきているように思います。

しかし、元々、「死の恐怖」に対する「とらわれ」が原因である不安神経症の場合は、いくら薬を飲んでも、根本的な克服には結びつかないと思います。

このページでは、全般性不安障害とかパニック障害と診断され、薬を何年も飲んでいるけれど、なかなか症状を克服することの出来ない不安神経症の人に、少しでも参考にして頂ければと思い、解説しております。

ですから、このページの内容をヒントにして克服の糸口を見つけていただければと思っております。


2.概要説明

今、上にも書きましたが、不安神経症は最近、パニック障害とか全般性不安障害、過呼吸症候群、パニック症、不安性障害などと呼ばれている症状と、実質的には同じになります。

ただ、このサイトでは名称ごとに分けて説明させて頂いておりますので、ご了承いただければと思っております。

これはパソコンやスマホなどでキーワードで検索される方が少しで多く、このページにたどり着けるようにと考えたためです。
このため、内容が他のページと一部重複している部分もあるかと思いますが、この点はご了承いただければと思っております。

本題に戻りますが、不安神経症の症状として良く見られるのは、突然の動悸や、めまい、息苦しさ(窒息感)であり、このためにパニックになってしまうという形で現れることが多いものです。
(これは不安発作とか、パニック発作と呼ばれます。)

また、不安神経症は後で詳しく説明させて頂きますが、高所恐怖症や過呼吸症候群、留守番恐怖、動悸、飛行機恐怖症、心臓神経症など、色々な形で症状が現れてきます。

ただ、いずれも、動悸や息苦しさなどの症状のために、このまま死んでしまったらどうしようと「死の恐怖」を直接的に感じるというところに特徴があります。

なお、不安神経症に悩んでいる人の一例を挙げますと、下記のようになります。



(不安神経症に悩むMさんの例)

ある会社に勤めるサラリーマンのMさんは営業部の社員として仕事で常にトップに近い成績を上げていました。

接待などで毎日のように夜遅くまで残業をし、休日も仕事の付き合いに費やすほど仕事熱心なMさんでしたが、ある朝、会社へ向かう通勤途中の電車の中で、突然、激しい動悸と息苦しさを感じ不安になってしまいました。

心臓発作でこのまま死んでしまったらどうしようと不安を感じ、途中の駅で電車を降りてしまいました。

この日のショックな出来事が「キッカケ」となり、これ以降、会社へ向かう通勤の電車の中で、たびたび動悸や息苦しさを繰り返すようになり、とうとう、「またあの苦しさが起きるのではないか」と電車に乗る前から意識するようになってしまいました。

そして、通勤ラッシュを避けて通勤したり、途中下車を繰り返すようになりました。

思いあまったMさんは心療内科の病院を訪れ、自分の症状の原因が不安神経症であることを知りました。

そして、病院で出してもらった動悸や息苦しさ、不安を抑える薬を飲む治療を始めました。

治療をしていく中で確かに薬を飲むといくらか動悸や息苦しさ、不安が和らぐことを感じましたが、このまま自分は一生、薬を飲み続けなければならないのかと、今度は薬を飲み続けることに対しても不安を感じるようになりました。

しかし、病院からもらった薬を飲まないと、動悸や息苦しさ、不安で電車にも乗れないということで、毎日、葛藤を感じながら過ごしているのです。




この例の人のように、病院の薬物治療を受けつつも、このまま薬を飲み続けて本当に不安神経症の症状が治るのだろうかと、治療の仕方や治療法に不安を感じている人が、今は増えているように思います。

しかし、かえって、こういう薬の治療に対する不安を感じる位の人の方が神経質性格の特徴を持っているということになり、MTカウンセリングを通して、森田療法の考え方を身に付けることで不安神経症の症状を克服していくことが出来るものなのです。

なお、不安神経症に悩む人は、一般的に強迫神経症に悩む人のように人見知りするとか、恥ずかしがり屋という面が少なく、むしろ外向的に見える人が多いように思います。


3.症状のチェック

下記の症状が、不安神経症の代表的なものですので、ご自分の悩みと照らし合わせてチェックしてみると良いのではないかと思います。


(不安神経症の主な具体的症状)

1.乗り物恐怖症
動悸や、めまい、息苦しさなどの不安発作の症状のために、電車やバス、飛行機などの乗り物に乗れなくなってしまう。

2.動悸
乗り物に乗っていたり、ベッドで寝ている時に、突然、心臓がドキドキしたり、バクバクして、このまま死んでしまうように感じる。

3.息苦しさ
夜寝る時や朝起きる時、人込みの中にいる時などに、息がうまく吸えず、失神するのではないかと不安になる。

4.めまい
道を歩いている時などに、浮遊感や、クラクラ感のために真っ直ぐに歩けない。

5.過呼吸症候群
学校の授業中とか仕事の最中に、突然に胸が締め付けられ、呼吸が速くなり空気が吸い込めない感じになる。

6.不安発作(パニック発作)
突然の動悸や息苦しさ、めまいなどのために、このまま死んでしまうのではないかと「死の恐怖」を感じる。

7.留守番恐怖
家族が仕事で出かけたりして家に一人でいる時に不安発作の症状が起こったことがあり、また、同じようになったらどうしようと不安になる。

8.心臓神経症
動悸や胸の痛み、違和感のため、心臓に異常があり死んでしまうのではないかと感じ、不安になる。

9.外出恐怖
動悸や、めまい、吐き気などの不安のために、家族と一緒でないと外出できず、仕事にも行けない状態になっている。

10.閉所恐怖症
エレベーターや歯医者、美容院など精神的に密閉された空間にいると動悸や息苦しさなどの症状が起こるのではないかと不安になってしまう。

11.電車恐怖症
急行や特急など停車間隔が長い電車に乗っている時に動悸や吐き気などの不安発作の症状が起こる。

12.飛行機恐怖症
仕事で出張する時やグループで旅行に行く時などにパニック発作の症状が起こるのではないかと不安になり飛行機に乗るのを避けてしまう。

13.息切れ
道を歩いている時などに息苦しさと共に感じることが多く、呼吸のしにくさから、このまま死んだらどうしようと「死の恐怖」を感じる。

14.胸痛
突然、胸が痛くなり、このまま死ぬのではないかと不安になる。

15.MRI・CT恐怖症
病院の治療や検査でMRIやCTの装置に入る時に動機や息苦しさが起こる。

16.予期不安
また心臓がドキドキしパニックになったらどうしようと感じ、思うように行動できない。

17.広場恐怖
歯医者や美容室など不安発作が起こった場所や状況に対して不安を抱き、そのような場所や状況を避けてしまう。

18.嘔吐恐怖症
吐き気や嘔吐の不安のために外出したり、人と一緒に食事が出来ない。

19.高所恐怖症
高いビルや橋などに行くことに対して恐怖や不安を感じてしまう。また、ジェットコースターのある遊園地などにも行けない。

20.外食恐怖
吐き気や息苦しさ、めまいなどの不安のために、レストランなどで食事が出来ない。



なお、最近は不安神経症の症状にも関わらず体の病気だと誤解されることが増えてきている症状もありますので、下記にまとめさせて頂きます。

(不安神経症と間違いやすい症状)

1.起立性調節障害
中学生位の思春期の女子に多く見られる症状だと言われています。
めまい、立ちくらみ、動悸、息切れなど不安神経症と見分けがつきにくいものです。
実際、不安神経症に発展する場合も多いと思います。

2.良性発作性頭位めまい症
単に、めまい症と呼ばれることも多いですが、これは耳石の異常により起こると考えられている体の異常から来る症状です。
しかし、神経症から来ている「めまい」にも関わらず、めまい症と診断されてしまうケースがあります。

2.メニエール病
激しい回転性のめまいや難聴、耳鳴り、耳閉感という4つの症状を繰り返す内耳の疾患ですが、不安神経症から来る「めまい」の場合に、この病気と診断されることも多いように思います。



上記の病気のために病院に通院しているけれど、なかなか症状が改善しないという方は、不安神経症の可能性もチェックしてみると良いと思います。


4.症状の原因

不安神経症の場合は強迫神経症や強迫性障害の場合よりも、より直接的に「死の恐怖」が影響していると言って良いと思います。

動悸や息苦しさといった不安発作の症状が起こった時に、このまま死んでしまうのではないかとか、大勢の人前で無様な姿をさらすことになるのではないかといった不安を感じることが多いものです。

不安神経症の症状が起こる「キッカケ」は、例にも書かせて頂きましたが、たまたま寝不足などで体調が悪い時に電車の中で突然、激しい動悸や息苦しさを感じ不安になってしまったといったショックな出来事が挙げられると思います。

これが、いわゆる「外的要因」ということになります。

そして、元々、心配性で完璧主義な神経質性格の特徴を持っていたり、感情や症状に対する誤った認識を持っていたりすると、これが「内的要因」になり、ますます症状を強くすることになってしまうのです。

つまり、こういう「内的要因」と「外的要因」が重なることで不安神経症の症状が起こり、、不安や症状だけに目を向け、これを無くそうとする行動を繰り返すことで、症状をさらに強くしてしまうのです。

これが森田療法で言っている気分本位の行動ということになるのですが、こういう気分本位の行動を繰り返すことで、ますます不安神経症の症状が強くなり、「とらわれ」が強固なものになってしまうのです。

ですから、ここに症状の原因があると言って良いと思います。


5.診断と薬による治療法

病院における不安神経症の診断は、3の症状のチェックのところで書かせていただいたような症状があるかどうかが基本になります。

そして、この上で、尿や血液、心電図、X線、超音波、CT、MRIなどの一般内科的検査において異常が見られない場合に不安神経症やパニック障害、全般性不安障害という診断がされます。

ただ、病院における治療法は、ほとんどの場合、薬物療法になっていると思います。

デパス、リーゼ、セルシン、ワイパックス、コンスタン、ソラナックス、エリスパン、レキソタン、セルシン、セパゾン、ルボックスなどのベンゾジアゼピン誘導体系の抗不安薬が用いられることが多いと思います。

また、デプロメール、パキシル、ルボックス、ジェイゾロフトなどの、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と言われている新しいタイプの抗うつ薬が併用されることも多いようです。

また、中には、加味逍遥散、加味帰脾湯、柴胡可竜骨牡蛎湯、柴朴湯、茯苓飲合半夏厚朴湯、黄連解毒湯、抑肝散などの漢方薬を治療に用いる病院もあるようです。


6.薬を使わず克服する方法

今、上にも書きましたが、今の精神科や心療内科の病院では不安神経症をパニック障害とか全般性不安障害、パニック症といった病名で呼ぶ事が多くなり、抗不安薬や、SSRIといった抗うつ薬による治療法がメインになっていると思います。

また、中には漢方薬で治療しようとする病院もあるように思います。

しかし、これらは不安神経症の症状だけに目を向け、これを治療しようとする方向ですから、森田療法の立場から見ると、気分本位の誤った方向の克服法ということになってしまうと思います。

しかし、今は製薬会社と医学界の結びつきが強くなっているため、不安神経症や全般性不安障害の場合でも薬による治療がメインになってしまうのは仕方がない面があると思います。

しかし、不安神経症の原因は脳や神経の異常ではなく「死の恐怖」に対する「とらわれ」にありますから、この「とらわれ」を解消していくことが本来の治療法であり、また、症状の克服、完治に結びつくのだと思います。

今は不安神経症に悩み病院の薬を何年も飲んでいるにも関わらず症状が改善してこないと言う人も多いですが、これも今の薬物療法が本来の治療法になっていないからではないかと思います。

しかし、目的本位や「あるがまま」など森田療法の考えに沿って行動していく中で「死の恐怖」に対する「とらわれ」が解消されてくれば、これで充分、症状を克服していくことが出来るものなのです。

なお、動悸や、めまい、吐き気、息苦しさといった、不安神経症の特徴的な症状である、「不安発作」が起こった時に「これは、大変だ」とか「このまま死んでしまったら、どうしよう」と考えてしまうと、さらに不安を大きくしてしまうものなのです。

しかし、今までに「不安発作」のために命を失ったり、体に障害を残すようなことになった人は、一人もいないのです。

ですから、まず、この事実をきちんと自覚していくことが大切だと思います。

そして、この上で、目的本位や「あるがまま」など、森田療法の考えに従って行動するようにしていくと、不安を必要以上に大きくしなくて済み、また、少しずつ症状を克服していけるものなのです。

ですから、これが薬を使わずに済む最も良い克服法になると思います。




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