(原因と対処のための具体的な説明)

  • 更新日 2021.07.15
  • 1.はじめに

    過呼吸症候群は単に過呼吸と呼ばれることも多いですが、突然呼吸が乱れて不安になったり苦しくなると共に、息苦しさや胸の痛み、動悸などの症状が現れるのが特徴になります。

    マラソンやサッカーといった激しい運動の後に、たまたま、息が荒くなり、息苦しさや動悸を感じ、このまま死んでしまったらどうしようと「死の恐怖」を感じるようなショックな出来事があると、これが「キッカケ」になり過呼吸症候群の状態に陥ることが多いものです。

    ただ、過呼吸症候群と言われている症状は、従来からある不安神経症やパニック障害の症状の1つだと言って良いと思います。

    そして、心配性や完全欲の強さといった神経質性格の特徴を持っている人の場合であれば、森田療法の学習をしてく中で「死の恐怖」や過呼吸に対する「とらわれ」が薄れてくると、これに比例して症状が治ってくるものなのです。

    ですから、今、過呼吸症候群の症状に悩み病院に通い治療をしているけれど思うように良い方向に向かないという人は、このページの内容を参考にして、これからの対処のヒントにして頂ければと思っております。

  • 2.過呼吸症候群とは

    今、上にも書きましたが、この症状は過換気症候群とか、単に過呼吸とも呼ばれる、不安神経症やパニック障害の症状の1つになります。

    統計的には比較的若い女性に起こりやすい症状だと言われています。
    また、救急車で病院に運ばれる人の中にも過呼吸発作が原因の場合が多いと言われています。

    また、過呼吸症候群の症状は突然の呼吸の乱れから動悸や息切れ、息苦しさでパニックになってしまうという形で現れることが多いものです。
    そして、これが過呼吸発作と言われている症状になります。

    よくマラソンなどの激しい運動の後に起こると言われることが多いですが、これは最初の過呼吸発作が起こる場合の話であり、過呼吸症候群の状態に陥った後は特に激しい運動をしなくても、日常生活の中で突然、起こるようになるものなのです。

    また、過呼吸発作に対する予期不安から激しい運動などを避けてしまうようになることが多いものなのです。

    なお、過呼吸症候群は乗物恐怖症とか外出恐怖など、不安神経症やパニック障害の症状として、いろいろな形で現れてきますが、いずれも、死の恐怖を直接的に感じるというところに特徴があると言えます。

    例えば電車の中で息苦しい状態になった時に「これは大変だ、このまま死んでしまったらどうしよう」と「死の恐怖」を感じてしまうために、どうしてもパニックになってしまうものなのです。

    つまり、息苦しい状態になった時に、これを命に関わるような大変なことだと考えてしまうために、逆に、ここに注意が集中し、過呼吸の症状をより強くしてしまうものなのです。

    ただ、過呼吸発作は30分から90分程度続くことも多いですが、放置していれば必ず収まってくるものなのです。
    また、決して死んだりや後遺症を残すようなことにはならないものなのです。

    ですから、この事実はきちんと自覚しておくことが大切だと思います。

    ただ、これは体の病気がない場合の話になります。
    つまり、何らかの体の病気があり、これから起こる過呼吸発作の場合は話が全く異なってきます。

    ですから、過呼吸症候群というのは心臓とか脳などに異常がない場合の症状ということになるのです。

    また、過呼吸症候群に悩む人は、対人恐怖症に悩む人のように人見知りするとか、恥ずかしがり屋という面が少なく、むしろ外向的に見える人が多いというのも特徴になります。

  • 3.ある体験者の方の具体例

    過呼吸症候群に悩んでいる方の一例を挙げますと、下記のようになります。


    (過呼吸症候群に悩むTさんの例)

    ある会社のサラリーマンであるTさんは、営業社員として常にトップに近い成績を上げていました。
    毎日のように夜遅くまで残業をし、休日も仕事の付き合いに費やすほど仕事熱心なTさんでしたが、ある朝、遅刻しそうだったために急いで乗った通勤電車の中で、突然、激しく呼吸が乱れ息苦しさを感じ、不安になってしまいました。
    そして、呼吸困難でこのまま死んでしまうのではないかと感じ、途中の駅で電車を降りてしまいました。
    この日を境として電車で通勤している時に、たびたび呼吸の乱れや息苦しい状態を繰り返すようになり、そのうち、「またあの息苦しさが起きるのではないか」と電車に乗る前から意識するようになってしまいました。
    そして、混雑するラッシュ時間を避けて通勤したり、途中下車を繰り返すようになりました。
    思いあまったTさんは、心療内科を訪れ、自分の症状が過呼吸であることを知りました。
    そして、病院で出してもらった不安を抑える薬を飲むようになりました。
    しかし、確かに薬を飲むといくらか不安が和らぐことを感じましたが、このまま自分は一生、薬を飲み続けなければならないのかと、今度は薬を飲み続けることに対しても不安を感じるようになりました。
    しかし、薬を飲まないと、不安で電車にも乗れないということで、毎日、心に葛藤を感じながら過ごしているのです。


  • 4.過呼吸症候群の具体的な症状の現れ方

    過呼吸症候群に悩んでいる時は下記のような症状が起こることが多いものです。

    1)呼吸が急にしにくくなり息苦しさを感じる。
    2)呼吸が速くなり不安を感じる。
    3)胸が痛くなったり圧迫感を感じる。
    4)息がつまるような感覚になる。
    5)指が痙攣したようになる。(テタニー症状)
    6)このまま死んでしまうのではないかと不安になる。
    7)また発作が起こるのではと不安で乗り物に乗れない。


    病院で検査をしても体に異常が見られないにも関わらず、これらの症状がある場合は過呼吸症候群だと考えて良いと思います。

  • 5.原因

    過呼吸症候群は体の病気がない場合の発作が特徴ですから、一般的に考えると、ハッキリした原因が分からないものなのです。

    不安になりやすい性格や精神的なストレス、マラソンなどの激しい運動が原因のように思われていますが、これらは誘発要因の1つに過ぎず、根本的な原因にはならないと思います。

    また、過呼吸の発作が起こっている時に血液中の酸素濃度が高くなり、二酸化炭素濃度が下がることから、これが原因だとする考え方もありますが、これも根本的な原因とは言えないと思います。

    ですから、過呼吸症候群の場合も他の不安神経症やパニック障害の場合と同じように考えた方が妥当だと思います。

    つまり、神経質性格の特徴を持っている人はマラソンなどの激しい運動の後に呼吸が激しくなり、息苦しさを感じ、このまま死んでしまうのではないかと「死の恐怖」を感じるような経験があると、これが「キッカケ」になり、また、あの時のような息苦しさやドキドキが起こったらどうしようと予期不安を感じるようになるものなのです。

    そして、この予期不安だけに目が向くと、運動したり、会社や学校へ行くための電車やバスに乗ることを避けてしまうようになるものなのです。

    しかし、このように予期不安を無くそうとして行動してしまうと、一時的には楽が出来るのですが、この積み重ねの中で、ますます予期不安を強くし、この結果として過呼吸症候群の症状が強固なものになってしまうのです。

    森田療法では、この予期不安を無くすための行動を気分本位の行動と言っていますが、ここに過呼吸症候群の症状を強くする原因があると言って良いと思います。

    つまり、息苦しさなどの過呼吸発作に対する不安を無くそうとして気分本位に行動することで、逆に息苦しさに対する「とらわれ」を強くしてしまうものなのです。

    ですから、過呼吸症候群の根本的な原因は、神経質性格の特徴を持っていることと、誤った認識に引きずられた気分本位の行動にあると言って良いと思います。

  • 6.薬を用いない対処法

    今、上にも書きましたが、過呼吸症候群の場合は、うつ病やストレス障害とは異なり、気分本位の行動の繰り返しによって出来た、息苦しさなどの症状に対する「とらわれ」原因なのです。

    ですから、目的本位など森田療法の考え方に沿って行動の仕方を変えるようにしていくことが必要になってくるのです。
    つまり、こうしていく中で息苦しさなどに対する「とらわれ」が薄れてくると、これに比例して過呼吸症候群の症状が改善してくるものなのです。

    ですから、薬による治療ではなく、森田療法の学習により過呼吸症候群の症状に対処していった方が根本的な解決に結びつくと言って良いと思います。

    つまり、これが過呼吸症候群の薬を用いない対処法になります