(原因と克服法)

  • 更新日 2025.07.18
  • 1.はじめに

    最近、背後恐怖症という言葉を目にすることが多くなりましたが、これも神経症が原因になっている場合が多いと思いますので、このページで解説させて頂きます。

    一般的には、背後から見られることや、背後を意識することで強い不安や恐怖を感じることだと言われていますが、これは他人を意識し、自分が変に思われたらどうしようと感じる対人恐怖症の場合と共通しているように思います。

    なお、今は対人恐怖症も社交不安障害といった呼ばれ方をすることが多くなりましたが、これも強迫神経症の一種であり神経症に含まれるものだと思います。

  • 2.症状

    背後恐怖症の具体的な症状は下記のような形になります。

    1.職場の男子トイレで後ろに人が並んだりすると用が足せなくなる。

    2.男性用の公衆トイレで横に人がいたりすると緊張してしまう。

    3.他の人が自分の背後を通る際に、強い不安を感じる。

    4.後ろを歩いている人が実は通り魔で突然刺されるのでと怖さを感じる。

    5.駅のホームに立つと後ろの人に突き落とされるんじゃないかと不安。

    6.帰り道とかで後ろの人につけられてるのではと不安になる。

    7.クラスで席が1番後ろじゃないと落ち着かなない。

    8.自分の背後が気になる。

    9.後ろから見られているような感覚を覚える。

  • 3.原因

    背後から見られることや、背後を意識することで強い不安や恐怖を感じる背後恐怖症は自分が変に思われたくないとか、安全に過ごしたいという意識や欲求が強い神経質性格を持っている人の場合に起こりやすいものなのです。

    つまり、こういう意識や欲求が強いと、この分、人から変に思われたらどうしようとか、人から危害を加えられたらどうしようといった不安も強くなるものなのです。

    そして、この不安だけに目を向け、これを無くそうとするために、逆にますます不安を強くし、この結果として背後恐怖症の症状が起こってくるのです。

    つまり、背後恐怖症の原因は本来、誰でも感じる、人から変に思われたらどうしようとか、人から危害を加えられたらどうしようといった不安を異常なことだと考え、これを無くそうとしてしまうところにあると言って良いと思います。

  • 4.克服法

    今、上に書かせていただいたように、背後恐怖症の原因は本来、誰でも感じる人から変に思われたらどうしようとか、人から危害を加えられたらどうしようといった不安だけに目を向け、これを無くそうとしてしまうところにありますから、まず、この部分を修正していくことが大切になります。

    つまり、本来、感じて当然の不安を無理に無くそうとしてしまうために、逆にますます背後恐怖症に伴う不安を強くしてしまうという「悪循環」を断ち切ることが大切になるのです。

    そして、このためには、変に思われたらどうしようとか、人から危害を加えられたらどうしようといった不安はそのままに、この不安に引きずられずに目の前の「やるべきこと」を一つ一つ、きちんとこなしていくことなのです。

    これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになるのですが、こういう行動を積み重ねていく中で少しずつ症状が改善してくるものなのです。

    ですから、これが薬に頼らない一番良い克服法ということになると思います。