(症状のチェックと原因、克服方法の解説)

  • 更新日 2021.05.12
  • 1.はじめに

    男性とは普通に話すことが出来るけれど、女性に対しては緊張してしまい、思うように話せなくなってしまうという男性も多いものです。

    そして、これが一番の悩みになっているのが女性恐怖症と言われているものなのですが、最近は、この症状に悩んでいる人も増えてきているように思います。

    最近は「コミュ障」という人間関係の悩みを表現する言葉もクローズアップされてきましたが、パソコンやスマホ、携帯などの普及によって他人との直接的な交流の機会が減ってきている事も女性恐怖症の増加に影響しているのではないかと思います。

    つまり、メールを初めとして、ツイッターとかラインなどの通信手段が進歩し、他人との直接的な繋がりよりも文字を通した繋がりの方が増えてきているために、ますます女性恐怖症の人が増えてきているのではないかと思います。

    いずれにしても、このページは、今、女性と思うように接することが出来ず、悩んでいる人に参考にして頂ければと思い、作成いたしました。

    ですから、このページの内容を参考にし、女性恐怖症克服のヒントを見つけて頂ければと思っております。

    なお、女性に限らず、苦手なタイプの人とか目上の人に対して緊張してしまい、思うように話せなくなってしまう人も多いですが、この場合は一般的な対人恐怖症ということになります。

  • 2.女性恐怖症とは

    女性に対して必要以上に構えてしまい、素直に接することが出来ないという状態は思春期の頃には誰にでも起こりがちなものだと思います。

    しかし、この状態が極度に強くなり、緊張や恐怖を常に感じてしまうとか、赤面したり、異常な汗をかいてしまうといった症状が出てくるようになると、これは女性恐怖症に悩んでいる状態ということになります。

    なお、女性恐怖症は男性恐怖症と正反対の症状になり、男性が悩む場合がほとんどですが、中には女性に起こることもあると言われています。

    女性の場合でも幼い頃に母親から虐待を受けたとか、中学や高校の頃に女の子同士でトラブルの経験があったりすると、これがトラウマになり、女性恐怖症になることがあると言われています。

    ただ、比率的には圧倒的に男性に起こりやすい症状になると思います。

    なお、この症状は、女性恐怖や異性恐怖症と言われることもありますが、対人恐怖症の中に含まれる症状になります。

    思春期以降、結婚するまでの若い男性に多く見られる傾向がありますが、中には、結婚し子供が出来た後でも、この症状に悩んでいる人もいます。

    具体的な症状は後で書かせて頂きますが、雑談恐怖や視線恐怖、対人緊張といった対人恐怖症と共通する症状が、特に女性を相手にして強く起こってくるものだと考えて良いと思います。

    そして、これらの症状を感じる結果、女性が苦手になってしまい、本当は女性と親しくなりたいのに、苦手意識や恐さから女性を避けてしまうということになりやすいものなのです。

    しかし、このようにして女性を避けてしまうと、一時的には楽になれるのですが、長い目で見ると、ますます、苦手意識や恐さ、さらに女性恐怖症の症状を強くすることになってしまうのです。

    なお、2010年の内閣府調査で、生涯未婚率が20%というデータもありますが、最近は一生結婚しない男性も増えているようです。
    しかし、この中には女性恐怖症の人も、かなり含まれているのではないかと思います。

  • 3.症状のチェックと診断

    下に具体的な症状を挙げましたが、これらの項目をチェックリストとして、ご自分の今の状態が当てはまるかどうかを確認してみて頂ければと思います。

    そして、このチェックリストの項目が3つ以上当てはまるかどうかで、今のあなたが女性恐怖症の状態に陥っているかどうかの大まかな診断が出来ると思います。

    1)女性と話す時に緊張や恐怖感を感じてしまう。
    2)女の人を前にすると赤面してしまい、会話が出来なくなってしまう。
    3)女性と話す時、異常に汗をかき、思うように話せなくなる。
    4)女の人からの視線を意識してしまい、ぎこちなくなってしまう。
    5)女性に触れられるような状況の時に緊張しドキドキしてしまう。
    6)嫌われるのではと感じ、疑いの目で女性を見てしまう。
    7)女の人に対して気まずさを感じることが多い。
    8)女性も参加している集まりでは、いつも落ち着かない。
    9)キャバクラなどに行くと、どうしたらいいか困ってしまう。
    10)女の人に話しかけるとき緊張してしまう。
    11)女の子と出会う機会があっても、不安で行く気になれない。
    10)日常的な集まりでも女性が混じると過敏になり緊張する。
    11)電車で若い女性の隣に座ると神経が過敏になる。
    12)女性がいると、無意識のうちに避けてしまう。
    13)女の人に初めて会う瞬間が怖い。
    14)本当は女性が好きだけれど緊張してしまい近づけない。
    15)女性が近づいてきただけで避けてしまう。
    16)女の人と親しい関係になることが怖い。
    17)付き合いたいけれど、勇気が出ず、告白できない。
    18)もてないと感じ、初めから出会いの機会を求めない。
    19)そもそも女の子と付き合うこと自体が難しいと思ってしまう。
    20)いまだかつて恋人が出来たことがない。
    21)好きなタイプの女の人に対して思うように話せない。
    22)好意を持っている女の子の目を見られず、固くなってしまう。
    23)若い女性と話すと汗をかいてしまう。
    24)綺麗な女性と話すと赤面してしまう。
    25)女性と一緒にいると不安や緊張で落ち着かない。
    26)面と向かって女性と話が出来ない。

  • 4.ある人の体験例

    女性恐怖症に悩んでいる人の一例を挙げますと、下記のようになります。


    (女性恐怖症に悩むSさんの例)

    両親が共働きで一人っ子として育ったSさんは小さい頃から人見知りをするような大人しい子供でした。
    しかし、子供時代は近所の同年代の子供と遊んだりして特に問題なく成長しました。
    しかし、中学校に入った頃から他人の目が気になったり顔が赤くなったりすることで悩むようになりました。
    また、元々、引っ込み思案だったSさんは同じクラスの女生徒とも、ほとんど話をすることなく過していました。
    ただ、時には、比較的成績が良く、背は低かったですが、それなりに美男子だったSさんに好感を持つ女生徒の方から声をかけられることもありました。
    しかし、こういう時でもSさんは、まともな受け答えが出来ず、また、自分の方から誘うようなことがなかったために、付き合いや恋愛に発展するようなことはありませんでした。
    そして、こういう状態が大学を卒業するまで続き、Sさんは女性と付き合う経験がなく会社に就職する年齢になりました。
    会社に入ってからもSさんの特徴はほとんど変わらず、技術の仕事の面では実績をあげることが出来ましたが、職場での人間関係、特に同僚の女性達との人間関係に悩むようになってしまいました。
    また、この頃には頭痛や不眠といった症状も出てきました。
    年齢も30歳に近づき、結婚のことも考え始めたSさんは、いろいろ女性と付き合う方法を考えましたが、生来の実行力のなさや恋愛経験のなさから、実際に女性と付き合うまでには行きませんでした。
    こういう状態の中でSさんは、ますます女性に対する恐怖心を強くすることになってしまいました。
    職場の女性と仕事上の話は何とか出来るのですが、仕事以外の話はほとんど出来ず、このため、プライベートな付き合いとか恋愛関係になることもありませんでした。
    心の中では結婚しなければという思いがあっても、女性を前にすると緊張し萎縮してしまうために、なかなか思うようにいかない日々が続いていたのです。
    こういう辛い日々の中でSさんは人付き合いのためのハウツー本を読んだり、心理学の本を読んだりしていました。
    しかし、こういう本を読んでも、どうしたら良いのかという具体的な方法が分からず毎日、悩みや焦りを感じながら生活しているのです。


    上記のSさんのように、女性恐怖症に悩むような人は内気で大人しく、対人恐怖症の傾向も持っているというのが特徴になります。

  • 5.原因

    女性恐怖症の場合も、他の対人恐怖症や、あがり症、社会不安障害の症状と同様に、身体の異常が原因で起こるものではなく、心の置き所、つまり神経症の「とらわれ」から来るものだと言えます。

    つまり、口下手だったり、汗を沢山かいたりしてしまうことで、女性から変に思われるのではないかという不安に対する「とらわれ」が出来た状態だと言えるのです。

    こういう「とらわれ」があると、ますます女性の前で思うように喋れなくなったり、視線が気になったり、汗をかいてしまうようになり、女性が苦手になり、この結果、女性から変に思われているに違いないと考えるようになってしまうものなのです。

    そして、思うように喋れないことや汗をかくことを異常なこととか「良くないこと」だと考え、これを排除しようとしてしまうことで、ますます「とらわれ」を強くし、この結果、女性恐怖症の症状として現れるようになってしまうものなのです。

    つまり、緊張や自分の症状のために女性から変に思われたらどうしようという不安に対する「とらわれ」が原因になっている症状だと言って良いと思います。

    ただ、こういう神経症の「とらわれ」が原因になっている場合だけではなく、トラウマが原因になって女性恐怖症の症状が起こっている場合も、比率は少ないですが、あると思います。

    つまり、子供の頃に母親から虐待を受けたり、幼稚園や小学校で女の子にいじめられたりして心に傷がつき、これがトラウマとなって女性恐怖症になってしまうこともあると思います。

  • 6.原因が神経症ではない場合の治療法

    今、上にも書きましたが、女性恐怖症の中でトラウマが原因の場合は非常に少ないと言えるのですが、中には、こういう場合もあるものなのです。

    そして、この場合は、カウンセリングや催眠療法、イメージ療法などの心理療法、漢方薬による治療、抗不安薬などの薬物療法などで対応していくことで効果が期待できる場合が多いと思います。

    特に現在は抗不安薬や抗うつ薬といった、心の薬の進歩が早く、優れた薬も増えているので、薬物療法がもっとも広く行なわるようになっていると思います。

    ですから、女性恐怖症の中でもトラウマが原因の場合は、薬物療法とイメージ療法などの心理療法を組み合わせた形で治療するという方向で良いのだと思います。

  • 7.神経症が原因の場合の克服方法

    5の原因のところでも書かせていただきましたが、女性恐怖症の症状は身体の異常から来るものではなく、精神的な要因である、神経症の「とらわれ」、つまり、心の置き所から起こってくる場合が、ほとんどだと言えるのです。

    ですから、抗うつ薬や抗不安薬といった女性に対する苦手意識や緊張を和らげるための薬を飲んだり、汗が出ないようにと汗腺や神経の手術をしたりしても、一時的には良くなったように思えても、また少し経つと、苦手意識や緊張、汗といった症状が再発してしまうものなのです。

    つまり、薬や手術などの治療では、神経症が原因の女性恐怖症の場合は、症状がぶり返し、なかなか良くならないことが多いものなのです。

    しかし、森田療法の学習をしていく中で、女性に対する苦手意識や緊張、汗といった症状に対する受け止め方が変化し、精神的な原因である「とらわれ」がなくなってくると、この結果として、女性恐怖症の症状が改善してくるものなのです。

    つまり、森田療法の考え方に沿って目的本位に行動するようにしていくと、この積み重ねの中で、女性の前での苦手意識や緊張などの症状を「あるがまま」に受け入れることが出来るようになり、この結果として、女性恐怖症の症状を根本的に克服することが出来るものなのです。