(原因と薬に頼らない治し方)

  • 更新日 2021.06.09
  • 1.はじめに

    細かいことが気になる悩みである強迫神経症は一つの物事に対してとらわれて常にこれが気になってしまう強迫観念と、これを打ち消すための強迫行為があるのが特長になります。

    なお、今では強迫性障害と呼ばれることが多くなっています。

    強迫神経症の代表的な症状は対人恐怖症になりますが、これ以外の主な症状は下記に示したようなものになります。


    <強迫神経症の代表的な症状>

    ・雑念が気になる(雑念恐怖

    ・人の物を盗んだと疑われるのではないかと心配になる(嫌疑恐怖

    ・高い所に上れない(高所恐怖症

    ・何度、手を洗っても気がすまない(不潔恐怖

    ・地震が来るのではないかと不安を感じる(地震恐怖

    ・4とか9という数字など、縁起の悪いことが気になる(縁起恐怖

    ・先のことが心配になり辛い(心配症

    ・物音が気になり勉強に集中できない(雑音恐怖症

    ・人を傷つけてしまうのではないかと不安になる(加害恐怖

    ・ガスの元栓や戸締まりなどを何回も見直してしまう(不完全恐怖

    ・ガンなど重病にかかっているのではないかと不安(疾病恐怖症

    ・針など先の尖った物を見ると恐くなってしまう(先端恐怖症

    ・汚い感じがして電車の吊革などに触れない(潔癖症

    ・店で自分が万引きするのではないかと感じてしまう(万引き恐怖)

    ・神や仏を冒涜するような観念が浮かび辛くなってしまう(涜神恐怖)

    ・自分が放射能に汚染されてしまったように感じ辛い(放射能恐怖)


    いずれの症状も完全欲の強さや心配性といった神経質性格の特徴が、その根底にあります。

    カギを閉め忘れたのではないかと心配になることは誰にでも多かれ少なかれあるものですが、これが過度に強くなり何度も同じ行動を繰り返してしまうという強迫行為が慢性的になった状態が強迫神経症に陥っている状態だと言っても良いのではないかと思います。

  • 5.原因

    対人恐怖症の場合は社会から落ちこぼれたり人間関係が崩れるといった「社会的な死の恐怖」が、その背景にあるものです。

    また、不安神経症の場合は、このまま死んでしまったらどうしようという「直接的な死の恐怖」が背景にあるものです。

    これに対して強迫神経症の場合は自分自身の「精神的な死の恐怖」、言葉を変えれば「完全欲の「とらわれ」」が根底にあり、これが原因となって起こると言って良いのではないかと思います。

  • 8.薬を使わない治し方

    強迫神経症に悩んでいる人は、かつての私もそうでしたが、何とかして症状を改善しようと考え心理学などの本を読んだりするものです。

    そして、民間療法を試みたり宗教的な修行に救いを求めたりすることも多いように思います。

    また、最近は強迫神経症の場合も、うつ病と同じように病院の薬を飲んでいる人が多いように思います。

    しかし、これらは森田療法の立場から見ると強迫神経症の症状だけに目を向けた気分本位の「はからい」の行動ということになり、根本原因の改善には結びつかないものなのです。

    ですから、一時的には良くなったとしても、長い目で見ると、ますます症状を強くしてしまうものなのです。

    このため、根本的な改善には森田理論の学習により「目的本位のクセ」をつけるようにしていった方が良いと言えるのです。

    つまり、森田理論の学習をしていく中で「目的本位のクセ」が身に付いてくると、この結果として、完全欲の「とらわれ」うすれ、症状が根本的に治ってくるものなのです。