(克服のための具体的な説明)
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更新日 2025.04.10
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1.悩みの内容
不完全恐怖は例えば、ガスの元栓をちゃんと閉めたかどうか、戸締まりのカギを閉めたかどうかと気になってしまい、何度も、これを確認してしまう、という形で現れる悩みです。
また、書類やレポートを書くのに、ちょっとしたところが不完全に思えてしまい、何度も確認し直したりして、時間が非常にかかってしまうという形で現れることもあります。
つまり、自分のしたことに自信が持てず、不完全に感じてしまい、何度も確認してしまう状態だと言って良いと思います。
なお、この不完全恐怖も、完全欲にとらわれてしまうという点で、対人恐怖症や潔癖症などと同様に強迫神経症に入るものだと言えます。
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2.原因
不完全恐怖に悩んでいる人は同時に潔癖症や縁起恐怖に悩んでいることも多いものです。
これは不完全恐怖に悩む人は、何事も100%完全でないと気がすまないという完璧主義にとらわれているからなのです。
完全主義は神経質性格の特徴の1つでもあるのですが、こういう完璧主義、つまり完全欲の強さが不完全恐怖の根本的な原因だと言って良いと思います。
そして、気になる原因を排除しようとして確認行為を繰り返すことで一時的には安心出来るのですが、長い目で見ると、ますます症状を強くしてしまうものなのです。
森田療法では、これを気分本位の行動と言っていますが、こういう行動を取ることで逆に余計に症状を強くしてしまうものなのです。
ですから、神経質性格を持ち完全欲にとらわれ気分本位の行動を繰り返してしまうことが不完全恐怖の原因であると言って良いと思います。
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3.薬に頼らない克服方法
不完全恐怖に悩んでいる時は、見落としや間違いが少しでもあってはならないと考え、100%完全を求めていることが多いものなのです。
そして、このために、逆にますます、見落としや間違いをしているのではないかと感じ、不安や恐怖を感じてしまうという「悪循環」に陥っていることが多いものなのです。
ですから、まず、100%完全は現実にはあり得ないことなんだと受け止めていくことが第一歩になると思います。
そして、この上で不完全さに引きずられて行動してしまうという癖を直すために、必要以上に確認しないようにしていくことが大切になってきます。
そして、これと並行して目的本位や「あるがまま」など、森田療法の考えに従って行動するようにしていくと、この積み重ねの中で薬に頼ることなく不完全恐怖の症状が少しずつ和らいでくるものなのです。