(症状と克服のための説明)
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更新日 2024.12.08
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1.症状と原因
加害恐怖は自分の不注意で人や動物に危害を与えてしまうのではないかとか、傷つけてしまったのではないかと不安になる症状を言います。
危害恐怖とか罪悪恐怖と呼ばれることもありますが、この症状も強迫神経症の一種になります。
具体的には刃物を見ると他人や動物を傷つけるのではないかと不安になってしまう症状になります。
また車通勤の人の中には自分では気付かなかったけれど人や動物を引いてしまったのではないかと不安になり通ってきた道を引き返し確認しに行ったりすることもあります。
また人の赤ん坊を見て傷つけたり突き落としてしまうのではないかと不安になる女性も多いものです。
そして加害恐怖の背景には人や動物を傷つけたり危害を与えたりすることは絶対にあってはならないという「かくあるべし」の考えがあるものなのです。
このため、心配性や完全欲の強さといった神経質性格の特徴を持っているクリスチャンとか仏教徒、教育者といった人の方が加害恐怖に悩むことが多いように思います。
つまり、こういう人達は宗教や道徳の教えから人や動物を傷つけたり危害を与えることは絶対にあってはならないという思いを強く持ちやすいのだと思います。
そして人や動物を傷つけたりして危害を与えることは絶対にあってはならないという「かくあるべし」の考えがあると、この裏返しで人を傷つけたり危害を与えてしまったらどうしようという不安が強くなるものなのです。
そして、この不安だけに目を向け、これを無くそうとしてしまうと逆にますます不安を強くしてしまい、この結果として加害恐怖の症状として現れてくるのです。
つまり、ここに加害恐怖の原因があると言って良いと思います。
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2.薬を用いない克服法
今、上にも書きましたが人や動物を傷つけたりして危害を与えることは絶対にあってはならないという思い、つまり「かくあるべし」の考えがあると、この裏返しで人や動物を傷つけたり危害を与えてしまったらどうしようという不安が強くなるものなのです。
そして、この不安だけに目を向け、これを無くそうとすることで逆にますます不安を強くしてしまい、この結果として加害恐怖の症状が起こってくるのです。
ですから加害恐怖を克服していくためには人や動物を傷つけたり危害を与えてしまったらどうしようという不安を感じながらも、この不安に引きずられずに行動していくことが大切になってくるのです。
つまり、森田療法ではこれを目的本位の行動と言っていますが人や動物を傷つけたり危害を与えてしまったらどうしようという不安を感じながらも目の前の「なすべきこと」を一つ一つ、きちんとこなすようにしていくことが大切になってくるのです。
また、日頃から生活の中の他の面でも目的本位や「あるがまま」など森田療法の考えに従って行動するようにしていくと、この積み重ねの中で少しずつ目的本位の「クセ」がついてくるものなのです。
そして、こうなれば不安を必要以上に大きくしなくて済むようになり加害恐怖の症状が起こらなくなってくるものなのです。
ですから、これが加害恐怖の薬を用いない克服法ということになります。