(原因と克服方法の解説)
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更新日 2021.05.05
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1.はじめに
人目が気になり、ぎこちなくなってしまうといったことは誰でも時には経験することだと思います。
しかし、中には、このことが常に気になり、悩みになっている人も多いものなのです。
このページでは、こういう人目や視線に関わる悩みについて、私自身の経験も踏まえ書かせて頂きました。
ですから、今、人目や視線のことで悩んでいる方に読んで頂ければと思っております。
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2.どういう悩みか
視線恐怖症は自分が人から見られているように感じ緊張してしまう、人の視線が気になりぎこちなくなってしまう、周りの人目が気になるために目の前のことに集中できなくなってしまうというような形で現れてくる悩みです。
森田療法では視線恐怖と言われることが多いです。
また、視線恐怖症は対人恐怖症や社会不安障害に含まれる症状になります。
なお、手の震えや顔が赤くなる悩みも、ある意味、視線恐怖症の要素を含んでいるように思います。
また、他の人間関係に伴う悩みも、この視線恐怖症の要素を含んでいることが多いと思います。
こういう意味で、人間関係に伴う悩みの中でも、視線のことで悩んでいる人が一番、多いのではないかと思います。
今、上にも書きましたが、視線恐怖症は大勢の人の中にいる時に周りの人目が気になるとか、視線が気になり金縛りにあったように身動きが取れず、ぎこちなくなってしまうという形で現れてくる症状になります。
このため、他者視線恐怖症と呼ばれることもあります。
そして、常に人の目が気になっている状態のために、目の前の仕事や勉強に思うように集中できず、仕事や勉強の能率が上がらないということになっている場合も多いものです。
つまり、他人から見られているのではないかと、常に周りの人目が気になっていますから、目の前の行動が上の空状態になっていることが多いものなのです。
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3.視線恐怖症かどうかのチェック
具体的な例をいくつか挙げさせて頂きましたが、これらの項目をチェックして、ご自分の今の状態が当てはまるかどうかを確認してみて頂ければと思います。
そして、このチェックリストの項目が3つ以上当てはまるかどうかで、今のあなたが視線恐怖症の状態に陥っているかどうかの大まかな判断が出来ると思います。
1)職場にいる時に周りの人目が気になる。
2)学校の教室で周りの視線が気になる。
3)他人の目が気になるため、動作がぎこちなくなる。
4)人の目が気になり仕事に集中できない。
5)電車に乗っている間も視線が気になって仕方ない。
6)信号を待ってる間、車に乗っている人から見られている気がして辛い。
7)道を歩いている時に、すれ違う人の視線が気になってしまう。
8)人から見られるのが怖く、外出しにくい。
9)人の視線を意識し、体に力が入り窮屈になる。 -
4.原因
視線恐怖症の場合は、他者の目に対する「とらわれ」が原因だと考えて良いと思います。
つまり、人から見られているのではないかと感じた時に、自分のみすぼらしさや見栄えの悪さなどの劣等感や自信のなさのために、相手から自分が変に思われているとか、嫌われていると感じてしまうものなのです。
ですから、視線恐怖症に悩んでいる人は自分がスタイルが良く、格好良いために見られているとは、けっして感じないものなのです。
また、今、上に書かせていただいたような劣等感や自信のなさが刺激されてしまうために、他者の視線を感じたくないという思いが出てくるものなのです。
そして、このために視線が気になる状態をなくそう考え、女性であれば髪を長く伸ばしたり、男性であれば深い帽子をかぶったりといった行動を取ってしまうものなのです。
しかし、こういう視線恐怖症の症状だけに目を向け、これを無くそうとして取る行動は、森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動ということになってしまいますので、この結果は、ますます他人の視線に対する「とらわれ」を強くしてしまうものなのです。
そして、いったん視線に対する「とらわれ」が出来てしまうと、常に人目が気になる状態になってしまうものなのです。
つまり、視線恐怖症の場合、うつ病や統合失調症といった心の病気が原因ではなく、「とらわれ」という精神的な要因で起こる症状だと言えるのです。
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5.薬を用いない克服方法
今まで色々書かせていただきましたが、視線恐怖症は、うつ病などの心の病気が原因ではなく、精神的な要因である「とらわれ」、つまり、心の置き所から起こってくるものだと言えるのです。
ですから、うつ病や統合失調症といった心の病気の場合とは対応の仕方が異なるのです。
つまり、薬を飲んだり、一般的なカウンセリングをしたりしても、一時的には良くなったように思えても、また少し経つと、視線恐怖症の症状はぶり返し、なかなか良くならないものなのです。
しかし、森田療法の学習をしていく中で人目が気になることに対する受け止め方が変化し、精神的な原因である「とらわれ」がなくなってくると、この結果として視線恐怖症は改善してくるものなのです。
つまり、人前で汗が異常に出てしまう悩みや、人前で手が震えてしまう悩みなどと同じように、人前での緊張や人目が気になることを「あるがまま」に受け入れることが出来るようになると、この結果として視線恐怖症が治ってくるものなのです。 ですから、これが視線恐怖症の薬を用いない克服方法になると言って良いと思います。