(原因と克服法の解説)
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更新日 2025.07.26
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1.嫌われ恐怖症とは
過度な人見知りや無口さ、人前での緊張、顔が赤くなること、人付き合いが苦手なこと、人の視線が気になることなどで、人から嫌われるのではないかと悩んでしまうのが嫌われ恐怖症ということになります。
嫌われ恐怖症は実質的には対人恐怖症や社会不安障害と同じだと思います。
日本のような集団行動を重視する社会においては、アメリカなどの個人主義の国に比べ、人間関係が崩れることは社会的な死を意味するため、この「社会的な死の恐怖」から嫌われ恐怖症の悩みが起こりやすくなっているのではないかと思います。
なお、嫌われ恐怖症の主な症状は下記の通りです。
(嫌われ恐怖症の主な症状)
1.赤面症
2.電話恐怖症
3.スピーチ恐怖症
4.書痙(しょけい)
5.自己臭恐怖
6.笑顔恐怖症
7.多汗症
8.正視恐怖
9.視線恐怖症
10.吃音恐怖
11.雑談恐怖
12.おなら恐怖症
13.唾液恐怖 -
2.原因
嫌われ恐怖症は自分が人から変に思われたらどうしようといった不安、つまり対人不安が根底にあるものなのです。
そして、こういう対人不安にとらわれるようになってしまうのは、人前で恥ずかしい思いをした経験などの「外的要因」と、神経質性格や感情に対する誤った認識という「内的要因」が重なったためなのです。
そして、不安や症状だけに目を向け、これを無くそうとして気分本位の誤った方向の行動を繰り返してしまうために、ますます嫌われ恐怖症の症状を強くしてしまうのです。
ですから、「外的要因」+「内的要因」+「気分本位の行動の繰り返し」が嫌われ恐怖症の原因ということになります。
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3.克服法
嫌われ恐怖症に悩んでいる時は、人前で不安になったり、人から嫌われるのではないかと感じて当然の時でも、これを異常なものと考え排除しようとしているものなのです。
しかし、これが逆に症状を強くしてしまう気分本位の誤った方向の行動ということになるのです。
そして、こういう行動を取ることで、ますます、嫌われ恐怖症の症状を強くしてしまうという「悪循環」に陥っているものなのです。
ですからまず、人前で不安になったり、人から嫌われるのではないかと感じることを今は嫌われ恐怖症に悩んでいる最中だから仕方のないことなんだと受け止めるのが克服の第一歩になると思います。
そして、この上で、目の前の「なすべきこと」を1つ1つ、きちんとこなすようにしていくことが大切なのです。
つまり、これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになるのですが、こういう目的本位の行動を積み重ねていくと、嫌われ恐怖症の症状を必要以上に大きくしなくて済み、少しずつ良い方向に向いてくるものなのです。
そして、この積み重ねの結果として嫌われ恐怖症を克服していけるのです。
ですから、これが薬などに頼らない克服法になると思います。